中古マンションを購入・売却するなら築2630年! 価格面や耐震性などメリット多数
築26年~30年の中古マンションなら専有面積も広めが多い
「(築26年)~30年」の中古マンションは、比較的専有面積が広い物件が多いのも特徴だ。 図表2にあるように、首都圏における「~築5年」の築浅マンションの成約物件の専有面積の平均は63.1㎡なのが、築年数が長くなるにつれて専有面積がジワジワと広くなる。 図表2 首都圏中古マンションの築年数帯・都県別専有面積(単位:㎡) 逆にいえば、最近は価格高騰のなかで、できるだけ価格を抑制するために専有面積を圧縮する動きが強まっているという見方もできる。 いずれにしても、築16年~25年は70㎡台と最も広く、「(築26年)~30年」は65.0㎡とやや狭くなるものの、それでも築浅マンションに比べると広めの物件が多い。 首都圏のなかで平均専有面積が最も広い千葉県でみると、「(築26年)~30年」は専有面積が74.0㎡となっていて、広めのマンションを探している人にとっては、注目しておきたい築年数帯ということができる。 しかし、「築30年~」になると、専有面積は狭くなってしまう。首都圏平均は57.1㎡で千葉県でも66.4㎡台だ。築30年超の築古物件になると、新築時には3LDKではなく、2DKなどの間取りが多かったので、現在のようなゆとりある広さの物件を探すのが難しくなってしまうわけだ。
築26年~30年の中古マンションは、売る側にもメリットがある
では、売る側からみれば、「(築26年)~30年」にはどんなメリットがあるのだろうか。 まず、価格面でみれば、図表1にあったように、築30年を超えると成約価格が一段と安くなってしまう。 「(築26年)~30年」の首都圏平均が3696万円に対して、「築30年~」は2398万円だ。1000万円以上も安くなってしまうので、それまでに売却するのが得策。高く売るためには築25年までなら平均5000万円以上だが、それを逃しても、「(築26年)~30年」なら、「築30年~」より平均でも1300万円近く高く売れる可能性が高いのだ。 しかも、図表3にあるように、売却時の築年数が「26年~30年」のマンションの価格乖離(かいり)率が最も低くなっている。 「21~25年」は-6.2%なのが、「26~30年」は-3.2%に下がり、「31~40年」になると-5.0%に上がってしまう。「26~30年」は「5年以下」の築浅物件の-3.8%よりも低くなっているのだ。 図表3 中古マンション売却時の築年数帯別の価格乖離率 26年~30年の中古マンションは値引き率が最も低い 価格乖離率というのは、売り出し価格と成約価格の差額を比率で示すもので、数式としては、「(成約価格-売り出し価格)÷売り出し価格×100」で求められる。 たとえば、5000万円で売り出したマンションが4500万円で売却できたとすれば、(4500万円-5000万円)÷5000万円×100で、乖離率は-10%になる。 それが、4800万円で売却できたとすれば、(4800万円-5000万円)÷5000万円×100で、乖離率は-4%になる計算だ。 マイナスの数値が小さいほど、希望の売り出し価格に近い価格で成約できたことになる。 乖離率がいくらになるかは、売り出し価格の設定にもよるだろうが、「26年~30年」なら、適切な売り出し価格を設定すれば、売り出し価格に近い状態で売却できている人が多いのではないだろうか。 さほど大きな値引きをしなくても売れるケースが多いわけで、買い替えが前提の売却でも、計画を立てやすいのではないだろうか。
耐震性も安心できるマンションが中心
なお、2024年は「令和6年能登半島地震」で幕を開けたこともあり、築年数の長い中古マンションは耐震性が気になるところ。 数百年に一度の震度6強程度の地震でも倒壊・崩落しないことが前提の新耐震基準が施行されたのが1981年。1990年代に建てられた、築26年~30年のマンションなら耐震基準を満たしているはず。その意味では、比較的安心して購入することができ、売るにも売りやすい面がある。 さまざまな面で、マンションを売るにも、買うにも築26年から30年を目途にするのがいいのではないだろうか。
山下和之