税務調査によって「逮捕される人、逮捕されない人」の違い【税理士が解説】
税務調査で逮捕される可能性があるのか、不安や疑問に思う方も多いのではないでしょうか。修正申告やペナルティの対象になることに加え、逮捕されるケースはあるのか、その場合の流れや対処法なども知っておきたいところです。税理士法人松本が、税務調査で逮捕される可能性や脱税による刑事手続きの流れ、脱税を疑われないためのポイントなどを解説します。
税務調査で逮捕に至る可能性は、多くはないがゼロでもない
まずは、税務調査で逮捕に至る可能性について解説します。 ■税務調査が「強制調査」なら逮捕の可能性は高まる 結論から言うと、税務調査で逮捕に至る可能性は決して多くはないものの、ゼロではありません。管轄の税務署から調査官がやって来て行われる「任意調査」と呼ばれる税務調査においては、ほとんどの場合申告漏れなどが判明しても、逮捕にまで至るケースにはならないことが多いでしょう。とはいえ、調査中に悪質であると判断された場合には、任意調査から強制調査に切り替えられ、逮捕されてしまう可能性もあります。 なお、税務署ではなく国税局の査察部が行う調査は強制調査となり、既に裁判所から令状を取得して調査にやって来るため、逮捕される可能性はより高まることとなります。ただし、強制調査の場合でも、逃亡の恐れがないとみなされれば、多額の不正や脱税とみなされた場合でも逮捕に至らない場合もあります。税務調査で脱税による逮捕を防ぐ対処法については、後ほど詳しく解説していきます。 ■税務調査で逮捕の可能性がある犯罪の種類 税務調査によって逮捕される犯罪の種類としては、以下のようなものが挙げられます。 ・逋脱(ほだつ)犯:虚偽の過少申告や無申告による脱税 ・申告書の不提出逋脱犯:故意に申告書を提出しない ・不納付犯:預かった源泉所得税を故意に納付しない ・滞納処分免脱犯:滞納による差し押さえを回避する目的で財産隠しなどを行う ・間接脱税犯:密輸や密造による関税、酒税などの脱税 ・虚偽申告犯:申告書に虚偽がある ・単純無申告犯:正当な理由がなく申告をしていない ・検査拒否犯:税務調査の妨害や拒絶、改ざんした書類の提出などを行う このほかにも、納税者に申告や納税をさせないように妨害する「扇動犯」や、源泉徴収の義務があるにもかかわらず源泉所得税を徴収しない「不徴収犯」などの種類があります。 ■税金に関わる犯罪に課されるペナルティ 上記で挙げた犯罪のうち、例えば逋脱犯の場合は10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、または懲役刑と罰金刑の両方が課せられます。故意による申告書不提出逋脱犯では5年以下の懲役または500万円以下の罰金、または懲役刑と罰金刑の両方が課せられます。虚偽申告犯や単純無申告犯、検査拒否犯では、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されることとなります。 また、逮捕に至らない場合でも、税務調査で申告漏れや無申告などが発覚した場合は「過少申告加算税」「不納付加算税」「無申告加算税」「重加算税」といった追徴課税がペナルティとして課せられることとなります。
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