税務調査によって「逮捕される人、逮捕されない人」の違い【税理士が解説】
脱税による刑事手続きの流れ・事例
脱税で逮捕される際の刑事手続きの流れや、脱税で逮捕に至る事例などについて解説します。 <刑事手続きの流れ> 脱税による刑事手続きの大まかな流れとしては、以下のようになります。 【調査⇒告発⇒逮捕⇒起訴、裁判】 税務署または国税局査察部による強制調査が実施され、脱税や不正行為が発覚すると、調査官や査察官は検察へ告発を行い、告発を受けた検察官が捜査を進め、脱税や不正の疑いが濃厚な場合に逮捕されます。しかしながら、脱税は多額だが、容疑者に逃亡の恐れがない、かつ証拠隠滅などの可能性も低いケースでは、逮捕されず在宅で起訴が進められます。逮捕された場合は、原則として逮捕から48時間以内に起訴か不起訴を決定しますが、判断がつかない場合は10~20日ほど拘留されることも考えられます。起訴された場合は裁判へと進み、有罪となれば刑が確定となるのが一般的な流れです。 <脱税で逮捕に至る事例> 脱税で逮捕に至る事例としては、以下が挙げられます。 ・売上の虚偽申告 ・虚偽の経費計上 ・不正な消費税の還付 ・無申告 このほかにも、税務調査の妨害や申告書の不提出など、逮捕となる可能性がある犯罪として挙げられた行為に該当する場合は、逮捕される可能性があるでしょう。過去に脱税によって逮捕された事例としては、経費や損失の架空計上、売上の過少計上などで数千万円~数億円前後の脱税が発覚したケースなどが挙げられます。 冒頭でも解説の通り、一般的な任意調査で逮捕に至るケースはほとんどありませんが、国税局査察部による強制調査が実施された場合には、逮捕に至る割合は8割ほどにまで高まります。参考までに、令和4年度における国税局査察部による告発件数は103件、1件あたりの脱税額は約9,700万円、告発率は74.1%となっています。 参照:国税庁『令和4年度 査察の概要』(https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2023/sasatsu/r04_sasatsu.pdf)
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