「取調べ拒否」尹大統領、罷免事由追加か…8年前に憲法裁「憲法守る意志なし」と判断
朴槿恵罷免の根拠として捜査への非協力
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が検察の1回目の出頭要請を拒否した中、かつて憲法裁判所が朴槿恵(パク・クネ)元大統領の捜査への非協力を「罷免の要素」の一つとしたことが改めて注目されている。法曹界からは、捜査機関による尹大統領の取り調べの拒否が罷免の根拠の一つになりうるとの見通しが示されている。 ハンギョレが16日に朴元大統領の弾劾審判の決定文を分析したところ、憲法裁はチェ・スンシル(改名後はチェ・ソウォン)氏の国政壟断疑惑を究明するために行われた検察や特検の取り調べに朴元大統領が応じなかったことについて、「憲法を守る意志がない」と指摘している。 憲法裁は、「チェ氏による国政介入の容認および権限乱用」が憲法と国家公務員法に対する違反などに当たると判断してから、罷免の可否についての判断で「被請求人は、提起された疑惑に関する真相究明に最大限協力する、検察や特検による捜査も受け入れると発表したものの、検察や特検による調査に応じておらず、大統領府の家宅捜索も拒否した」と記している。 そして「(朴元大統領は)国民に対して誠意のない謝罪を行い、国民に対しての約束も守らなかった」として、「このような言動をみると、被請求人の憲法を守る意志がはっきりと表れていない」としている。国民に公言した真相究明への非協力、捜査機関による取り調べの拒否などからみて、「憲法を守る意志がないため、罷免が必要だ」と判断したのだ。 朴元大統領は、国政壟断の中心人物であるチェ氏が拘束された翌日の2016年11月3日に国民向け談話を発表し、「必要なら検察の取り調べに誠実に臨む覚悟であり、特検による捜査も受け入れる」との立場を表明した。しかし朴元大統領は、検察の特別捜査本部の3回にわたる対面調査要求に対し、「物理的に不可能だ」、「特検の捜査に応じる」などの理由をつけて拒否する考えを表明した。その後に発足した特検の出頭要求に対しては、「取り調べ日がメディアに流出した」との理由でまたも拒否している。朴元大統領の検察による取り調べは、罷免後の2017年3月21日になってようやく実現している。 内乱罪の容疑者の尹大統領も、朴元大統領の過ちを繰り返している。尹大統領は非常戒厳宣布後の7日の国民向け談話で、「戒厳宣布に関して法的、政治的な責任問題を回避しない」と公言した。しかし、検察の特別捜査本部(本部長:パク・セヒョン・ソウル高等検察庁長)による11日の出頭要求は拒否している。これについて元検察官の弁護士は、「憲法裁は朴元大統領の弾劾審判で、捜査に協力するかどうかは護憲意志とつながっていると判断した。尹大統領が取り調べを拒否し続ければ、自ら罷免事由を追加する格好」になると述べた。 一方、特捜本部はこの日、中央地域軍事裁判所から、12・3内乱で国会に兵力を投入したクァク・チョングン前陸軍特殊戦司令官の拘束令状の発行を受けた。ただし、今回の事件の核となる人物であるキム・ヨンヒョン前国防部長官に対する取り調べは実現しなかった。検察はすでに発行されている拘束令状を根拠に、ソウル東部拘置所に収監されているキム前長官に対する取り調べを試みたが、キム前長官の弁護人が「偏向的な取り調べには応じられない」と反対したため、調査は実現しなかった。 カン・ジェグ、イム・ジェウ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )