東京都に副知事は何人? 「首長」と「地方議会」それぞれの権限とは
第24回参院選、東京都知事選と続き、ことしは選挙の夏となりました。参院選では、改憲勢力が憲法改正に必要数に届いたこと、都知事選では与野党の支援を受けなかった小池新知事が誕生し、都議会とどうなるか、など、あらためて議会の動きが注目されています。 「内閣と国会」、「首長と地方議会」は、それぞれどのような権限を持っているのでしょう。
国権の最高機関は「国会」
国会は国の唯一の立法機関で、国権の最高機関です(憲法41条)。法案審議(同59条)、予算の議決(同83~86条)、条約の承認(同61条)を扱います。ほかにも、国政が正しく行われているか調査できる国政調査権(同62条)、裁判官をやめさせることができる弾劾裁判所の設置(同64条)の権限を持っています。また各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、憲法改正の発議ができます(同96条)。ただし、実際に憲法改正するためには、この発議後、国民投票で過半数の承認を得る必要があります。 内閣は、政策を実施する行政権を持ちます(同65条)。法案の作成と提出・執行(同72、73条1項)、予算の作成と執行、決算のまとめ(同73条5項、86条、90条)、条約の締結(同73条2、3項)を行います。政令の制定(同73条6項)、恩赦の決定(同73条7項)、天皇の国事行為への助言・承認(同3条、7条)も内閣の権限です。
地方議会は議決機関 首長は執行機関
地方議会は「議決機関」とされています。条例の制定・改廃(地方自治法96条1項)、予算の議決・決算の認定(同96条2、3項)、地方税の賦課徴収や手数料などの徴収に関する議決(同96条4項)等がおもな仕事になります。自治体の事務の調査(同100条)、住民の請願受け付け(同124条)も行います。 首長は「執行機関」とよばれます。補助機関として任意に条例で定めた副知事や副市区町村長を置くことができ、議会の同意を得て、選任されます。現在東京都の場合、4人の副知事がいます。また、必ず会計管理者1人を置くことが定められています。 首長の主な仕事としては、議案提出(同149条1項)、予算の調製・執行、決算の提出(同149条2、4項)、会計の監督(同149条5項)、自治体の建物・施設の管理(同149条7項)などがあります。また、法令に反しない限りにおいて、首長の権限に属する事務については規則を制定できる権利(同15条)を持っています。 地方自治体は、国と異なり、司法権と外交権を持っていません。憲法92条「地方自治の本旨」に基づく団体自治の考えに沿って、国からある程度の独立を保ちながら、首長と議会がそれぞれの権限で地域にあわせた政治を進めています。