空前の売り手市場、ホンネで一句…就活の長期化で疲労にじむ川柳も 就活リサーチ
令和7年卒業予定の大学生らの就職戦線は、空前の売り手市場となっています。そんな中、学生はどのように就職活動と向き合っているのでしょうか。就活を進める中で感じたことを川柳に詠んでもらいました。約550の作品が寄せられた中から、率直な心情が伝わる佳作を紹介します。 【ランキング】新卒入社後すぐ辞める理由は? ■川柳① 勤務地と 福利厚生 譲れない まさに今年を象徴するような一句です。ここ数年、人手不足を背景に企業にとっては採用難の様相が続いています。5月の調査で、採用活動の感触を「順調」と回答した企業は全体の2割足らず(19・8%)でした。 学生に優位な売り手市場では、どうしても好条件の企業に目が行きます。給料はもちろん、福利厚生についてもしっかり調べ、企業選びの判断材料にする学生が増えました。 近年は「配属ガチャ」を敬遠する動きも顕著です。「配属ガチャ」とは入社後の配属先の当たりはずれを、開けてみなければ中身が分からないカプセル玩具にたとえた言い回しです。 内定を出す際に希望地への配属を約束する企業も徐々に増えています。就活中の大学生らへの調査では「勤務地が決まっていないと内定承諾できない」との回答は22・4%に上りました。何とかして内定を承諾してもらいたい…企業は切実です。 ■川柳② パンプスの 走りに慣れる 四月末 4月末といえば、3月1日の就活解禁から2カ月近くがたち、リクルートスーツも似合うようになってきた頃でしょうか。企業訪問の際「服装自由」な企業は意外と多いですが、実際はスーツと革靴で臨む学生が大半。最初は靴擦れに泣いたとみられる詠み人も、オフィス街をさっそうと駆け抜けるくらいに履き慣れた頃、企業訪問にも慣れ、堂々と自己PRなどを言えるようになったのではないでしょうか。「ゴールはすぐそこ、あと一息がんばろう!」という気合と自信も感じられます。 ■川柳③ 終わったよ すべて自宅で 内々定 一方、こちらの学生は、企業を訪問することなく内々定をゲットしています。コロナ禍をきっかけに採用活動のオンライン化が急速に進みましたが、昨年頃から対面形式への回帰が目立っています。ただ、採用数の多い企業などでは説明会からOB・OG訪問、最終面接まですべてオンラインでというケースもあります。「在宅就活」は楽な半面、寂しさや物足りなさを感じるのでしょう。この句は自慢なのか、はたまた効率的にさばかれたという自虐なのか。