ホンダ・日産・三菱連合、もし「フォルクスワーゲン」と経営統合すれば世界1位になる! 少し真面目に考えてみた
筆者への反対意見
もちろん、このアイデアに対しては多くの課題があるという意見も出るだろう。そのひとつが企業文化の違いだ。 自動車メーカーの統合の失敗例としてよく挙げられるのが、1998年に設立されたダイムラー・クライスラーだ。この統合はドイツと米国の企業間で行われたが、異なる企業文化や経営スタイルが統合効果を阻害したとされている。特にダイムラー側が支配的な立場を取ったことで、クライスラー側の士気が著しく低下し、独自性やブランド力を損なう結果を招いた。このように、経営統合には企業文化の違いがリスクとしてつきまとう。 また、ステランティスの事例もある。フランス、イタリア、米国という異なる背景を持つ企業が統合したが、企業文化の違いが障害となり、解決されないまま現在に至っている。さらに傘下に14ものブランドを抱えているものの、それぞれ異なる市場戦略を十分に統合できていない状況も浮き彫りになっている。 今回のケースで考えると、ホンダは独立性を重視する企業文化があり、意思決定の迅速さが特徴だ。一方、日産はルノーとのアライアンスの影響で意思決定プロセスが複雑化している。そしてフォルクスワーゲンは、ドイツ的な緻密な管理体制が特徴であり、これら3社が協調するにはカルチャーや言語の壁を越える必要がある。大規模な調整が求められるだろう。 さらに、経営面でのリスクも重要な課題だ。日産は再建途上であり安定性に欠ける部分がある。フォルクスワーゲンも2015年の「ディーゼルゲート」と呼ばれる排ガス規制不正問題の影響から完全には抜け出せておらず、信頼回復に努めている最中だ。これらの課題を抱えたまま統合を進めることは、仮に世界1位となる巨大グループを形成しても新たなリスクを生む可能性がある。 加えて、規制や税制の違いも課題として挙げられる。日本とドイツ間での規制や税制の違いが、統合プロセスを一層複雑にする可能性がある。これらを克服することが統合成功の鍵となるだろう。