歌手・かすみ(青森市)民謡日本一 民謡民舞全国大会で最高賞 初挑戦から13年「ようやく実感湧いた」
青森市在住の津軽民謡歌手かすみが、2日に東京都で開かれた「民謡民舞全国大会」(日本民謡協会主催)民謡の部で、最高賞の内閣総理大臣賞に輝いた。県勢の受賞は2017年の髙橋律圭(のりよし)以来7年ぶり5人目。初挑戦から13年目で勝ち取った栄光に祝福の声が届き「ようやく実感が湧いてきた」と喜んでいる。 今回の同賞争奪戦には、地区大会を勝ち抜いた全国59人が出場。かすみはこれまで4回挑戦し、最高成績は11年と22年の準優勝、22年は優勝者と0.1ポイント差に泣いた。多くの大会で優勝を飾ってきただけに、唯一優勝できない大会として自身でも苦手意識があったという。 本番はなぜか普段と違う心持ちだった。最も緊張する舞台袖では平常心を保っていたが、観客を前にして急に緊張が襲ってきた。「唇が震えたのは初めて」という状況だったが、歌唱曲は十八番の「津軽小原節」。15歳で出身地の栃木県から青森県へ修業のため移り住んだかすみ。「誰にも負けたくない」という当時の心情を、自作の歌詞に乗せ力を込めて歌った。 自身の出来としては「少し硬かったが、力を入れたいところで入れられた。丁寧に大事に歌えた」という。結果発表の時間が決まっておらず、トイレから戻った楽屋の中で日本一を知った。周囲から聞かされ「信じられない気持ちが大きかった」と笑う。厳しい母からも「おめでとう」と初めて言ってもらった。 プロとして舞台をこなし、テレビやラジオなどでも活躍中だ。人前に出る経験が増えたことも今回の受賞につながったといい、今後の目標は「民謡を広げていくこと」。ほかの郷土芸能に比べて民謡は続ける子どもが少ないといい「自分が開いているフェスに出てもらい、一緒にやりたいと思ってもらう入口にしたい。プロは県内で私だけ。民謡でも食べていけるということを伝えたい」と語った。 同大会では、民舞の部の内閣総理大臣賞争奪戦で青森市の石川義梅(よしうめ)会が準優勝した。 ◇ <かすみ 栃木県出身、青森市在住。8歳で民謡を始め、15歳で津軽民謡の修業のため青森県へ移住。19歳で当時最年少となる第54代県民謡王座に輝く。2017年にNHK東北民謡コンクール優勝大会で大賞受賞。このほか国内外での公演、テレビ・ラジオのレギュラー出演などで活動中>