6年前の甲子園のヒーローが戻ってきた!大学進学既定路線だった吉田輝星が高卒プロを選んだ理由【主筆・河嶋宗一コラム『グラカンvol.32』】
甲子園の活躍がプロ志望のきっかけに
国体では進路を明言しませんでしたが、大会後、金足農で進路表明会見が行われることを発表し、私は秋田まで出張しました。 学校に到着すると、大手新聞の記者、民放テレビのアナウンサー、ディレクターが揃っており、さらにこの会見はワイドショーで生中継をされていたのを後で知りました。野球の話題の中心は吉田投手の進路なんだなと実感しました。それだけ甲子園での活躍はインパクトがありました。吉田投手はプロ志望を決めた経緯についてこう語りました。 「やはり甲子園、国体で自分たちの力を発揮してチームで勝てたことがそういう決断につながりました。夏の秋田大会に入る前は大学でやってみたいと思いましたが、甲子園の経験、U18で周りの選手を見てみて刺激を受けたので、新しい心が芽生えてきたと思います」 秋田大会前は、八戸学院大進学が既定路線だったといいます。甲子園で人生を変えた投手の1人でした。同年のドラフトでは日本ハムから1位指名を受け、入団が決まりました。プロ1年目から初勝利を挙げ、一軍での経験を重ねましたが、なかなか結果を残せない時期が続きます。プロ4年目で51試合に登板しましたが、5年目は3試合登板に終わり、昨年オフ、オリックスへトレードで移籍となりました。今季は中継ぎとして活躍し、35試合に登板し、防御率3.99、自己最多の8ホールドを挙げており、今シーズン中には二桁ホールドを上げる可能性はありそうです。
シーズンで戦う中、母校と、そしてエースへ成長した弟・大輝投手の応援に甲子園に駆けつけました。この試合後に吉田投手はこのようなコメントを残しました。 「スタンドから見る甲子園はすごく楽しかったです。 大輝とはLINEで”見に来てね!”と言われていたので”がんばってね!”というやり取りをしていました。 試合には惜しくも敗れてしまいましたが、9回の追い上げには3年生たちの気合を感じましたし、大輝にはその姿を見て、これからもがんばってほしいと思います。 そして僕自身も後輩たちの姿を見てすごく勇気をもらったので、残りのシーズンも粘り強くがんばっていきたいと思います。」 大輝投手も試合後、「自分は兄と比べると全然まだまだなんだと思いました。また甲子園に戻りたい」と涙ながらに決意をしました。 兄の輝星投手は中継ぎの一角としてさらに登板を重ね、そして弟・大輝投手はセンバツを目指す日々が始まります。大輝投手は現在の2年生投手の中では世代上位に入る力量を持っていますので、追いかけてみにいきたいと思います。 *『主筆・河嶋宗一コラム グラカン!』は毎週日曜配信します。