6年前の甲子園のヒーローが戻ってきた!大学進学既定路線だった吉田輝星が高卒プロを選んだ理由【主筆・河嶋宗一コラム『グラカンvol.32』】
皆さん、こんにちは!! 『高校野球ドットコム』の河嶋です! 甲子園取材が連日続いております。久しぶりに金足農(秋田)が甲子園に戻ってきました。 9日の初戦で西日本短大附(福岡)に敗れてしまいましたが、この試合を甲子園のネット裏から見守ったヒーローがいました。オリックスの吉田 輝星投手です。2018年夏の甲子園、チームを決勝に導いた甲子園のヒーローです。甲子園が終わっても、U-18代表、国体では彼が中心でした。その当時を振り返っていきたいと思います。 【動画】11K!MAX152キロ 金足農時代の吉田 輝星の投球映像
捕手も絶賛した国体での投球
地方大会・甲子園11試合、1517球を投げぬいた影響もあり、U-18代表では吉田投手は代表合流後、完全別メニューで調整しました。大学代表との試合でも投げず、宮崎で行われるアジア選手権へ向けて準備を行っていました。 吉田投手が登板したのは宮崎に入ってから。宮崎選抜との9回に登板した吉田投手を初めてネット裏から見ました。最速149キロのストレートの伸びが尋常ではなく、他の代表投手も140キロ台の速球を投げ込んでいたのですが、明らかにモノが違いました。これが甲子園で50回を投げ、62奪三振を記録したストレートなんだと納得しました。 ただアジア大会では甲子園の疲れの影響が出たと思います。韓国戦では6回3失点、台湾戦でも5回2失点。140キロ後半の速球は出していたとはいえボールの精度が低いように感じました。アジア大会は4位に終わり、日本にとっても、本人にとっても悔いが残る大会となりました。
吉田投手の高校最後の登板になったのは、福井国体の常葉菊川戦でした。この試合、福井県営野球場には8257人が詰めかけました。吉田投手がマウンドに上がると大歓声が上がります。甲子園でも話題となった刀を抜く「シャキーンポーズ」を披露すると、さらに大歓声。まさにスターの姿でした。この試合の吉田投手の投球は甲子園以上のものがありました。 最速152キロの速球はアジア選手権の時よりも走っているように感じました。速球だけではなく、大きく曲がるカーブ、スライダーのコンビネーションで、常葉大菊川打線から5回まで12奪三振の快投。吉田投手は「今日は20点です。コントロールが良くなかったです」と球数が91球になっていたことを反省していましたが、菊池亮太捕手は次のように絶賛しました。 「今まで受けていたんですけど、今日は一番すごかった。152キロのストレートは本当に速くて予測できない伸びでした。だから捕球音を鳴らすことができなくて…。しっかり鳴らしてあげたかったです」 当時、常葉菊川を率いていた高橋 利和監督は次のように絶賛しました。 「やられました。吉田君は本当にすごい投手ですね。見ていてもホップしていましたから。うちの打者が無理、無理といっていましたからね。走者を出すんですけど、彼は大事な場面でスイッチを入れてくる。ストレートが良いイメージだったんですけど、変化球もよかったですね」