30周年! 累計出荷本数17億本超! チョコ界の〝黒い稲妻〟「ブラックサンダー」の転機
1_パッケージが英語表記だった! 「“BLACK THUNDER”、子供には読めないですよね(笑)」(北島さん・以下同) 2_10円高かった! 当時、チョコナッツスリーの販売価格は20円、ブラックサンダーは30円だった。 「美味しさに妥協をしたくなかったことで、どうしても30円にするしかないと。しかし、当時のメインターゲットであるお子さんにとって、10円の差は大きいですよね」 たしかにその10円があれば、フーセンガムやチョコ、棒状のスナック、くじ引き……楽しみがもうひとつ増やせる。 こうしていったん姿を消した「黒い雷神」、どのようにして不死鳥のごとく蘇ったのだろうか。 まず、九州エリアの営業担当者が、現在の会長に販売再開を直談判、1996年に販売が再開される。 続いて、関西地方の大学生協を中心に、じわじわと売れ行きが伸びてくるという現象が起こった。 大学生にとっての「30円」という価格は、今度は逆に他のチョコバーなどに比べ「安くてボリュームがあって美味しいお菓子」という逆の受け入れられ方をした。 「30円でこれぐらいのボリュームのものを食べられるというところが、大学生にとってコスパのいいお菓子ということで大学生協で売り上げを伸ばしはじめました」 ’04年にはある大学生協の菓子部門売り上げNo.1になり、’05年には全国各地で気軽に買えるようになった(ちなみに’03年からはパッケージの商品名もカタカナ表記に!)。 そんな流れの中で、学生から寄せられる「ひとことカード」へのウイットに富んだ回答が大きな話題を集めた「生協の白石さん」で紹介されたことも、大きな追い風となる。 そして、さらなる大展開が待ち受けていた。 もはや説明不要かもしれないが、’08年に男子体操選手・内村航平が取材時に「大好物」と発言したことでブラックサンダーの知名度は大幅アップ、2ヵ月ぶんの在庫が1週間で無くなるほどの売れ行きをみせ、現在に至るヒット商品となった。 ◆30周年、「攻め」のリニューアル さて、30周年。 人気定番菓子として不動の地位を築き上げたブラックサンダーは、この記念すべきタイミングで一気に「攻め」の姿勢を打ち出す。 まず、商品そのものが大きくリニューアルされた。 これまで入っていたプレーンビスケットとココアクッキーに、新たなココアクッキーを加え、ブラックサンダー最大の魅力である「ザクザク感」をさらに強化、“ザク増し”に成功した。 商品開発を担当する田中駿さんは言う。 「実はお客様にはあまり気づかれないような形での改良は重ね続けているのですが、このような形での大きなリニューアルは初めての試みです」 世間の流行でもある「食感」に乗るような形でのリニューアルだが、「別物」と感じられてはいけない。 「食感ブームの中、市場にある『ザクザク』とうたう商品を、お菓子に限らずいろいろ試食しながら試行錯誤しました。何よりも大切にしたのが『ブラックサンダーらしさ』です。 あまりにも変わってしまうと、今のブラックサンダーが好きというお客様が離れてしまう可能性もあるのがリニューアルの難しさです。今のブラックサンダーの味わいを残しながらザクザク感を増すという調整、試食を重ね、より心地よいザクザク感を出すことができたと思います」(田中さん) たしかにポテチや煎餅のバリバリ感やパフ入りチョコの軽い食感とも違う、それがブラックサンダーだ。