カミツキガメ、怖い外来種で駆除へ…じつは“コバトン”モデルとなったシラコバト、外来種だが保護対象 注目の企画展を開催 埼玉でも繁殖する在来種、逆に海外へ渡ってモンスター扱い
アメリカザリガニ、ミシシッピアカミミガメ、ウシガエル、セイヨウタンポポ…。あなたはいくつ外来種の名前を言えるだろうか。埼玉県内にも生息するこれらの生物の実態や扱い方を楽しく学ぶ企画展が長瀞町の県立自然の博物館で開催中だ。農作物を食い荒らす「悪者」もいれば、ペットや農作物として欠かせない種類もいるなど、意外に多様な外来生物の姿を伝える。10月14日まで。 愛らしいシラコバトの写真 首に黒い横線あり、尾が長く体形ほっそり アライグマは模様独特【写真5枚】
外来生物(外来種)とは、人の活動によって海外など他の地域から連れてこられた生き物を指す。日本の野外にいる外来生物は2千種といわれる。そのうち大きな被害を及ぼす約160種類は、国が「特定外来生物」に指定し、生きた状態での輸入や飼育、野外への放出などが禁止されている。 会場には、県内に生息する外来生物を中心に、哺乳類、鳥類、魚類などの剥製や昆虫・植物の標本がずらりと並ぶ。約430点を展示し、日本に入ってきた時期や環境への影響を解説している。 いずれも特定外来生物で、深刻な被害をもたらすアライグマとクビアカツヤカミキリ。愛らしい風貌のアライグマは、1960年代から北米からペットとして輸入され、のちに野生化した。県内での捕獲数は2002年は2匹だったのが、22年には1万匹を超え、野菜や果樹の食害が大きな問題になっている。クビアカツヤカミキリの幼虫は、ウメなどバラ科の樹木を内側から食い荒らして枯らしてしまう。県北部を中心に発見が相次ぎ、サクラへの被害が目立つという。
生態系への影響が懸念されつつも、畜産業や農業に活用される外来生物もある。白い花が美しいハリエンジュ(ニセアカシア)は在来種の成長を邪魔するが、アカシアはちみつの重要な原料となる。県のマスコット「コバトン」のモデルとして親しまれるシラコバトも実は外来種。江戸時代にインドから狩猟用として入ってきたが、数が少ないため国の天然記念物として保護の対象だ。同じ外来生物でも扱い方はさまざまだ。 ユニークなのは、海外に持ち出された「お騒がせな日本の在来生物」のコーナー。くず粉が採れるクズは駆除が難しいことから、欧米で「グリーンモンスター」と呼ばれる。オオスズメバチはアメリカで「殺人スズメバチ」と恐れられている。 担当学芸員の本多里奈さん(32)は「外来生物は人間に連れてこられたということを忘れないでほしい。『悪者』とひとくくりにするのではなく、一つ一つと適切につきあっていく必要がある。身近にいる生き物という目線で見てほしい」と話した。
【外来生物in埼玉!】 10月14日まで、県立自然の博物館。長瀞町長瀞1417の1(電話0494・66・0404)。午前9時~午後4時半。月曜休館(祝日は開館)。消毒作業のため6~13日休館。観覧料は一般200円など。