日本のPE取引、23年に急増-低調なアジア太平洋と対照的-ベイン
(ブルームバーグ): 日本では昨年、プライベートエクイティー(PE、未公開株)に絡んだ取引が低金利や潤沢な対象企業の存在を背景に急増し、アジア太平洋地域で唯一の成長市場となったことが米コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーのリポートで示された。
25日のリポートによれば、日本における昨年のPE絡みの取引額は2018-22年の年平均に比べ183%増と、3倍近く増えた。これに対し、アジア太平洋の取引額は同様の比較で35%減って14年以来の低水準に落ち込んだ。
ベインのアジア太平洋PEプラクティス共同責任者、セバスチャン・ラミー氏(東京在勤)は、企業が株主価値向上の圧力に直面し、事業売却や非公開化のため企業買収専門会社と協力する意欲が高まっているため、日本での勢いは24年も続く見通しだとみる。
ラミー氏はインタビューで、「日本について金利以外を含む広範な文脈で捉える必要がある。これは複数年にわたるトレンドだ」と話した。
日本における活発なディールメーキングの様子は、PE投資セクターが世界中で直面している不振とは対照的だ。各国・地域の利上げを受けて投資家の意欲が後退し、PEセクターにおける全体的な取引額やイグジット(経営者・出資者の保有株売却による投資資金回収)、資金調達などは世界的に落ち込んでいる。
日本での23年の目立った取引としては、日本産業パートナーズ(JIP)連合による東芝の株式公開買い付け(TOB)や、富士通による新光電気工業売却などが挙げられる。
日本は引き続き課題を抱えている。リポートでは、PE投資会社が市場で成功を収めるためには現地人材を採用・確保する必要性があると指摘するとともに、考慮すべきリスクとして為替変動にも言及している。
原題:Japan Private Equity Deals Soar in 2023 as Rest of Asia Slumps(抜粋)
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Lisa Du