ボクシング＜WBA世界バンタム級タイトルマッチ＞　前日計量をパスし、握手を交わす井上拓真（左）、堤聖也　＝東京都文京区（撮影・長尾みなみ）

2日間にわたる国内史上最大級のプロボクシング興行「Prime Video Boxing10」（13、14日、東京・有明アリーナ）の第1日（13日）の前日計量が12日、東京・文京区の東京ドームホテルで行われた。3度目の防衛を目指すWBA世界バンタム級王者の井上拓真（28）＝大橋＝はリミットの53・5キロ、同級2位の堤聖也（28）＝角海老宝石＝は53・4キロでともに1回でパスした。 フェースオフでにらみ合った後に右手でがっちりと握手を交わし、堤に「次は俺が勝つからな」と言われたが、拓真は笑顔で受け流した。 「結果で見せたいと思っている。冷静に淡々と自分のボクシングをするだけ。しっかり結果で分からせようかと思います」 同学年の堤には高校2年の夏、全国高校総体準決勝で勝利している。約12年の時を経て、リベンジに燃える堤と舞台を大きくして再び拳を交える。 計量会場には〝仮想堤〟となって拓真のスパーリングパートナーを務めた兄で、4団体世界スーパーバンタム級統一王者の井上尚弥（31）＝大橋＝も駆け付けてサポート。拓真は「心強い部分はあります」と感謝した。尚弥は試合ではセコンドに入るという。 「相手は打ち合いだとかその距離にしたいって思うだろう。自分は離れても、くっついても自分のペースでやるだけなんで。本当に何もできなかったと言わせるような試合展開をしていきたい」と完勝で返り討ちにすることを誓った。 対する世界初挑戦の堤は「いい顔してたっすね。やっぱり。表情がすごく良くて。体重をはかってるときに体でかいなっていうのは大体分かったんですけど、もっと近い距離で全部見たかったんですけど、ちょっともう僕も目を離したくなくて。あんまり（体を）見てはないんですけど。あと、ベルトも見なかったっすね。いつもだったら多分そこを気にするのかなと思ったけど、ベルトを気にしてないぐらい、井上拓真に集中できてんだなっていうのは、フェースオフの後に感じました」と振り返った。 「けど今は正直、そんなにいつもの試合と大して変わらないっすよ。落ち着いてるし。拓真とやるっていうのは、僕の悲願でもあるし、世界タイトルというのもそうだし、そういう思いが乗っかった部分はもちろんあるんだけど、今のマインドはいつもの試合前日と一緒」と心境を語った。