守ろうメンタルヘルス。TikTok、未成年には美容フィルター制限
「美の基準」とは? TikTokは、18歳未満のユーザーが「顔を大きく変えてしまうフィルター」を使えなくする制限を設けることを発表しました。同社によると、対象となるのは唇をふっくらとさせたり、目を大きくしたりするフィルターで、うさぎの耳をつけるようなフィルターは対象外となるようです。 この方針は、数週間以内に全世界で適用される予定で、背景には、未成年者のメンタルヘルスに対する懸念があります。美しさを求めるフィルターを使用した子どもたちの中には、自分の外見に対する不安やうつ症状を訴える人がおり、ソーシャルメディアが子どものメンタルヘルスに与える影響を懸念する動きが高まっています。 TikTokに対し、具体的にどのフィルターを成人限定とするのかメールで問い合わせたものの、回答は得られませんでした。ただし、The Guardianによれば、2023年初頭に導入され、非現実的な美の基準を作り出したとして議論を呼んだ「Bold Glamour」のようなフィルターは、未成年者は使えなくなるようです。 一方で、顔の構造を変えるのではなく、メイクアップを施すだけのフィルターは、引き続き利用可能とのこと。
AIを使った年齢確認も追加
今回のアップデートは、13歳未満の子どもたちがソーシャルメディアを利用することを防ぐ取り組みの一環でもあります。TikTokは利用可能な最低年齢を13歳と定めており、これは米国で同類のサービスが設けている基準と同等です。また、13歳未満の子どものサービス利用を防ぐために、AIを活用する計画も発表されました。 TikTokは、声明で以下のように述べています。 この技術は13歳未満と思われるアカウントを検出し、特別に訓練されたモデレーターがアカウントを確認して、基準を満たしていないと判断した場合には削除します。現在と同様に、誤りがあると思われる場合には異議申し立てをすることも可能です。 TikTokの米国での存続が、不透明な状況のなかで行なわれた今回の発表。2025年1月20日に再び大統領に就任する予定のドナルド・トランプ氏はかつて、TikTokの親会社である中国のByteDanceに対して強い批判を行ない、TikTokの米企業への売却、または米国での禁止を命じる大統領令を発しました。しかし、その命令は法廷で異議が唱えられ、バイデン政権により撤回されました。 現在トランプ氏は、方針を転換し、TikTokの米国での事業継続を支持しています。トランプ氏はFacebookを批判しており、市場の競争原理に基づいてTikTokを擁護する動きを見せていますが、ByteDanceの大株主が共和党の主要な献金者であることも一因ではないかと推測されています。
小野寺しんいち