習近平が世界に展開する「民間”警備”会社」に米シンクタンクが警鐘…!世界に派遣される「中国・新武装勢力」のヤバすぎる実態
ミャンマーに展開する「代理軍隊」
11月29日付日本経済新聞は「ミヤンマー軍事政権は年内にも中国政府と共同で警備企業を立ち上げる」と報じた。共同警備企業はミヤンマーでの中国の投資事業と中国人の安全確保が目的だという。 「中国・ミャンマー経済回廊(CMEC)」は、中国雲南省昆明市とミャンマーのラカイン州チャウピュー港を結ぶ高速道路、鉄道、パイプラインの建設が予定されている。 CMECが完成すればインド洋への直接アクセスが可能となることから、中国にとっての戦略的価値は極めて大きい。 ミャンマー北東部で国軍と武装勢力の衝突が激化した昨年10月以降、中国は国軍との対話を重ねる一方、越境犯罪の取り締まりの必要性などから武装勢力との協力も維持するなど、「仲介役」を自任してきた。だが、最近、国軍寄りの態度を鮮明にしている。 中国の李鵬首相は11月上旬、2021年のクーデター後初めて中国を訪問したミャンマー国軍トップのミンアウンフライン総司令官と昆明市で会談し、軍政を支持する方針を伝えた。 武装勢力がレアアースの産出地などを占拠し、中国の経済的損失が拡大するリスクが高まっているからだ。 共同警備企業は直接戦闘には参加しないが、ミヤンマー軍の武装兵士や兵器の輸送を行うとみられている。 このため、欧米の専門家は「実質的には代理軍隊の派遣だ。中国もウクライナを侵攻したロシアと同様の代償を払うことになるかもしれない」と警告を発している(12月2日付ZeroHedge)。
中国民間企業が「発火点」となる日
中国と同様、ミャンマーに権益を有するインドもこの動きに警戒を強めるだろう。 ミャンマー西部ラカイン州でインフラ計画を有するインド政府は、安全確保の観点から、国軍と対立する同地の武装勢力と連携する動きを見せている(10月3日付NNA ASIA) 筆者は「ミャンマーが中国・インド両国の代理戦争の場になる」と危惧してきたが、中国の今回の動きでそのリスクが一段と高まったのではないかと考えている。 中国の警備企業の暗躍がアジアの地政学的な緊張を高めないことを祈るばかりだ。 さらに連載記事『習近平が密かにすすめる世界戦略が判明…!経済大低迷で中国が追い込まれる「要塞経済」のヤバすぎる中身』でも、中国の世界への影響力について紹介しているので是非、参考としてほしい。
藤 和彦(経済産業研究所コンサルティングフェロー)