三度の沈黙、最後まで耐えた漢・大岩監督「ダメだね……」零れる涙見せず去る
[8.2 パリ五輪準々決勝 U-23日本 0-3 U-23スペイン リヨン] パリ五輪のメダルを目指す戦いが終わった。大岩剛監督は試合後の囲み取材で三度の沈黙。「ダメだね……」と笑顔で涙を隠しながら、質問に応えた。 【写真】「いとこがSixTONESジェシー」驚きの告白をしたパリ五輪サッカー日本代表FW 2022年3月に発足して約2年半、88人の選手とともにチームを作り上げた。同月に行われたドバイカップU-23 2022で優勝すると、同年5月にウズベキスタンでのU23アジアカップではU-21世代で挑んで3位入賞。その後は欧州遠征、アジア競技大会、U23アジア杯2024予選でチーム力を高めてきた。4月にカタールで行われたU23アジア杯では下馬評を覆して優勝。8大会連続で五輪出場を決めた。 オーバーエイジなしで初めて五輪のグループリーグ突破を決めた。3連勝無失点という勢いのなか、準々決勝では優勝候補スペインに挑む。だが、0-3と完敗。大岩監督の挑戦が終わった。 試合終了後、記者の質問に一つひとつ丁寧に答えた。終盤に差し掛かり、新たな質問が飛ぶ。「監督にとって五輪代表監督はどんな期間だったか」。指揮官は言葉を探すと、思いがこみ上げてきた。 「日本代表としてオリンピックを目指すという、いろんな壁というか障害はありましたけど……選手がね、本当に成長したと思います。若い選手たちなんでね………ダメだね(笑)」 その後も数度言葉に詰まりながら質問に応えた。だが、最後の質問には耐えきれなくなった。「外から見ていてもいいチームだった。監督にとってどういうチームだったか」(記者)。最初は笑顔で言葉を探していたが、2年半の思いが涙に変わる。目から零れ落ちそうになった瞬間、大岩監督は帽子で顔を隠しながら無言でその場を去った。