【解説】安定的な皇位継承のあり方は 皇族数の確保へ2つの案の議論始まる
■皇室の課題 専門家「遅きに失しておるほど先送りにされてきた」
森圭介キャスター 「国会での議論が始まりましたが、所さんはどうみていますか?」 京都産業大学名誉教授 所功さん 「今回スタートを切られたということは意味があると思います。ただ、あえていいますと、遅きに失しておるほど先送りにされてきたということでありますが、これ以上は先へ延ばさないというところへ至ったのは結構なことだと思います」 森キャスター 「もう待ったなしの状態だということです。笛吹さんに聞きますが、現在の皇室はどういう状況なのでしょうか?」 宮内庁担当 笛吹雅子解説委員 「宮内庁のホームページに動静が記載されていまして、その件数だけを見ても、今年4月の1か月、天皇ご一家は約50件、秋篠宮家は30件以上、他の宮家も30件以上あります。今も88歳の常陸宮さま、83歳の華子さまも担われています。女性の皇族については、公務をご結婚により他の人に引き継がれることになります。例えば、日本テニス協会などの名誉総裁などは、小室眞子さんから妹の佳子さまに引き継がれました。佳子さまがご結婚されたら次は?となると、先々の担い手はどんどん減っていっていると実感します」 森キャスター 「そういった状況を踏まえて、所さんは今後の皇室についてはどうあるべきだと考えていますか?」 所名誉教授 「各論はさておいて、総論としていうと、皇室はやはり然(しか)るべき皇族がおられなければ成り立たないわけです。その皇族というのは男子・女子問いません。とにかく、皇室に生まれ、育たれた方が中心であり、そこへ結婚して入られた方が皇族になるわけですが、そういう方が一定数おられることが必要であり、それがもうこれ以上減らないようにする。少しでも増やすようにするという今回の案は結構だと思います」
■2つの案 今後もしっかり再検討を
森キャスター 「2つの案が出されていますけど、これについてはどうですか?」 所名誉教授 「問題は、皇室に生まれ育った未婚の皇族女子が、結婚されても皇室に残れるというふうにすることは、皇族としての役割は続けられるということですから、これは必要であり結構なことだと思います。ただし、その夫として入られる方もそのお子さんも皇族にしないというふうなことが、もともと有識者会議の報告にありますけれども、それはいかがなものかと思います。これは今後ともしっかりと再検討してほしいと思います」 「養子案については、これまたある意味で難しい問題がもっとあると思いますけれども、その可能性も今回開いて、具体的なことは、養子というのは送り出す側も送られる側も意向が一致しなければ成り立たないことですから、これは丁重にことを運んでいただきたいと思っています」 森キャスター 「『女性皇族を結婚後も皇室に残して皇族の数を確保する案』では、その女性皇族を結婚後も皇室に残すときには、その女性皇族の配偶者がいるわけですが、その配偶者もともに皇族になるのか、それとも一般人として、家庭内に皇族と一般人がいることにするのか、というところが問題になるわけです。そして『皇族が旧宮家の男系男子を養子に迎えて皇位継承者を確保する案』は、これまで皇室離脱から77年の時がたっているので、一般人として生活した人が急に皇室に入るのはなかなか難しいものがあるのではないかということです」