はやぶさ2が地球に帰還へ JAXA会見(全文3完)ありがとう、また会う日まで
一番苦しかった時期は?
時事通信:時事通信の【カンダ 00:56:53】です。今、考えていた質問を、同じ質問をされてしまったので、じゃあ、この505日間、数えてみたら505日間あったんですけれども、この中で一番苦しかった時期というのをお3方、1つずつ挙げていただけますでしょうか。 津田:私はやっぱりタッチダウン1を実現するに至る、そこまでの道のりですね。それは、7月ごろから、去年の7月から、小惑星リュウグウの観測データが出てきてから、一見してこれはでこぼこだなという印象はあったんですが、実際にもうデータとしてでこぼこで、当初「はやぶさ2」の着陸を想定していたものよりは全然厳しいということが分かり始めたとき。 そこから先、いろんな試行錯誤を始めました。今、最終的に実行した方法というのは、最後に皆さんにお見せしているものがありますけれども、それに至るまでにはもういろんな枝分かれがあって、行き詰まりがあって、行き詰まっては戻ってということを繰り返して、これをチームメンバーみんなでやっていきました。答えが見えない時期がすごく長かったです。答えが見え始めたのは本当に、2月22日がタッチダウンですけれども、1月明けて中旬以降ぐらいですかね。そこで初めて、これならいけそうだねと、やっと分かって。 それまでは本当に、およそ4カ月間ぐらいですか、苦しい時期がありました。これは何もできないで、リュウグウで近傍フェーズの期間を全部使ってしまうんではないかという不安があった時期もありました。そういう意味で、ちょっとどこですかというご質問に対しては、長い時間なんですけれども、タッチダウンに至るまでというところが厳しかったです。
発信したい情報はまだたくさんある
吉川:私のほうも、やはり今のタッチダウン1はかなり大変だったという気がするんですが、個人的な役割で言うと、こういう記者説明会とかそういった情報の発信をずっとやっていて、これ、ずっと苦しいですね。いまだに苦しくて、要するにたくさんデータがあるんですね。たくさん発信したい情報があるのに、それを皆さんに分かりやすく発信するというのがまだ全然できていないという状況でして、これをどうにか、この帰還フェーズを使ってキャッチアップしていきたいと思うんですが、なかなかそこが皆さんにとってもフラストレーションになっているかもしれませんけれど、本当に今回はいろんなデータがあり過ぎるというので、そこをどうにか対応していきたいなと思っております。ちょっと回答になっていないかもしれませんが。 久保田:今、お話で、最初からいろいろ困難はあったと思うんですけど、私はプログラムディレクター、それから研究総主幹という立場でちょっと一歩退いて見ていると、一番苦しく始まったのはまず開発のとき、これは4年で開発しなければいけなかったっていうところから始まっていると思いますが、チームがいろんなことを考えて進めてきて、もちろんいろんなところで困難が、出合いましたけれども、みんな諦めずに知恵を出し合っている姿を見て、いっぱい考えているんだな。こうやってみんな育ちながら新しいミッションをつくっているんだなということを感じておりますので、いろんな困難が人を成長させたのかなと、今になっては言えるかなというふうには思っています。 司会:時間となってしまいましたので、これにて第1部を終了させていただきます。 (完)【書き起こし】はやぶさ2が地球に帰還へ JAXA会見