はやぶさ2が地球に帰還へ JAXA会見(全文3完)ありがとう、また会う日まで
リュウグウにいる1年5カ月間で、一番の思い出は?
毎日新聞:毎日新聞の永山です。お3方に伺いたいのですが、リュウグウにいる1年5カ月、いろいろなことがあって思い出はたくさんあると思うのですが、その中で何か1つ挙げるとすればなんでしょうか。何が一番思い出に残りましたか。 津田:全部ですけど。でも私の、リュウグウのというよりはもしかしたらプロジェクト活動という意味かもしれないですけれども、私の中で非常に大きな分岐点になったなと思っているのは、9月12日ですかね。降下中にLIDARがアボートしたときがありまして、そのあとすぐわれわれプロジェクトチームで集まって、そこから先の善後策を考えたときに、そこで今までになかった作戦、ターゲットマーカーを先に降ろそうという決断ができたということです。 これがそのあとの成功に全てつながっている最初の大きな分岐であったと個人的には思っていまして、これは当初計画にはなかったんですが、チームで話し合って、最後全員で合意できた。その結果に基づいて10月25にターゲットマーカーを落としたら、いい場所に落ちて、それを使ったら今年の2月22日にタッチダウンができたということで、全部そこからつながって、そこから先もいっぱいいろんな苦労があったんですけれども、最初の選択が非常に良かった。それは大きな方針転換だったんですけれども、その方針転換のおかげでそのあとなんとかわれわれはリュウグウ乗り越えることができたという意味で、私にとってはそこが一番思い出深いところです。
あえて一番を選ぶなら、リュウグウ到着
吉川:私も全てというふうになっちゃうんですが、あえて1番というのを選ぶとすると、これ、やはりリュウグウ到着ですね。これは「はやぶさ」のときも、イトカワの姿を見た瞬間に、これはすごいと。もう「はやぶさ」ミッションは成功だと、ぐらい思ったんですけれど、今回もリュウグウの形をこのようにはっきり見た瞬間に、これもまた新たな小惑星探査の1ページが開けるという、ほぼ確信に近いものがあったので、やはり到着を取りあえず第1番ということで挙げたいと思いますね。 久保田:どれかというのを挙げるとすると、もちろん担当したMINERVA-II、イブーとアウルの表面でのホップしたときの写真等が1番なんですが、正直に言うと「はやぶさ2」が1回目にタッチダウンしたときの、下面に付いているカメラからのタッチダウンの様子があれだけ鮮明に動画として撮れたというのが一番驚きですね。「はやぶさ」初号機では残念ながらタッチダウンの様子というのは見れなかった。それが今回は、皆さまのおかげでカメラが搭載できて、これがまさしく鮮明に見ることができたというのがたぶん一番感動した映像になります。