ウェルネスメンター・吉川めいが考える“ヨガ”とは? 「不安なときに必要で、人を救ってくれるもの」
執着ポイントに気づけば暮らしの質がよくなっていく
――日常生活のなかで視点を変えるコツやヒントを、教えてください。 吉川 「How Willing are you?」。自分の視点を変えてみようという意志を、まず持つことでしょうか。自分からその可能性に心の扉を開かないと、何も始まらないと思うので。「私はけっこうオープンマインドですよ」という人も、意外に固執することだってあるんです。たとえば、あなたの夫が「いつも食べているお米に飽きたからコシヒカリにして」と言ったとします。でも、あなたにしてみれば「今まで20年間、秋田こまちなのに、今さら?」と。そんなことってありませんか? ――あります(苦笑)。そういう小さいイライラも、じつは相手のワガママというより、自分の執着が原因かもしれない? 吉川 そう、慣れ親しんだルーティンで、無意識に変えたがらないことって、けっこういっぱいあるんです。そこに気づくことが、まずはスタート地点です。他人や物事に対してイラッとしたり、ムカついたり、思い通りにいかなくて悔しかったり、悲しかったりする瞬間が、誰でもきっとあると思います。 ――そこが〝執着ポイント〞? 吉川 その通りです。「こう行くはずだったのに」とか「こう行って欲しかったのに」という思いと現実とのギャップが摩擦になって、その感情が生まれているはず。だから、ネガティブな感情をきっかけに、自分がどんなことにこだわっているのかが見えるんです。それが見つかったら、今度は「相手の思いはどうなんだろう」と、より広い視野で見てみる。そして、第3のプロセスとして、「私たちはこの側面で、お互いにどうありたいか」を探っていく。これができてくると、日々の心の摩擦が減り、自然とストレスが減り、イコール病気や不調が減るなど、暮らしの質がよくなっていきます。 ――「書く瞑想」も、まさにこうした気づきを深めるためのトレーニングなんですね。 吉川 毎回、一つのテーマを書いていくことは、心の部屋をひと部屋ずつお片づけしていくイメージに近いかもしれません。MAE Yでは、毎週月曜日には瞑想やマインドフルネスを学ぶオンラインプログラムも行っているのですが、参加者のみなさんは月曜日をすごく楽しみにしていますね。オーケストラでいえば、演奏する前に「ラ」の音にすべての楽器を合わせる日というか。 ――なるほど、ざわついたり揺れたりした心を調整して、また新たな1週間を始める。「心のチューニング」を月曜日に行うのですね。 吉川 ただ、チューニング後の自走はご自身で、と。これまで10数年もヨガをお伝えしてきていますが、私がいないとできない、ヤワなヨガを育てているつもりはなくて(笑)。今は「私がいなくても、みなさんのヨガができるようになりましたね」という、次の段階に来た感じです。ヨガと同じく、人生も自分自身で選び、自分軸で生きることで、より輝きます。周囲に合わせて自分の心を少しずつすり減らしながら生きる人の多い今だからこそ、自分自身と向き合い、自分らしい生き方を見つけていってほしい。それが、経験からいえる私の願いでもあります。
取材・文:藤村幸代 撮影:Ap,inc ヘアメイク:平塚美由紀 スタイリスト:エイケネス香織