元バイク屋営業が乗る! Benelliのアドベンチャー「TRK502X」は“優しい力持ち”だった
ローシートでも830mm! TRK502Xの足つきチェック
本国仕様で860mmのシート高を誇るTRK502Xは、日本仕様では830mmと30mmローダウン化されている。30mmといえばなかなかの下げ幅だと思うが、実際にまたがってみると想像通り結構高い。身長171cmでも片足ベタ付きとはいかず、両足ではつま先が地面に触れている位の感覚だった。 ただ、少なくとも平地では不安を感じることもなく、街乗りレベルであれば余裕で乗れてしまいそう。というのも、アップライトな乗車姿勢で体勢が安定しているため、前後輪にバランスよく荷重がかかっている感覚がしっかりとあるからだろう。とはいえ重心は間違いなく“上”に寄っているので、停車時に大きく傾けば急に重くなり危ないだろうとも感じた。 もしどうしても足つきが不安だという人には、別途オプションの「ウルトラシェイプシート」(税込み¥19,800)を装着すれば、ここからさらに15mmローダウンできる。
いよいよ試乗! 360度クランクが生む、豊かで優しいトルク感を堪能
さて、いよいよTRK502Xを試乗していく。まず半クラッチの状態からすぐに伝わってきたのは、太くも優しいトルク感。235kgもの車重を全く感じさせない力強さだが、ドンツキ感は一切なくスムーズに進んでいく。パワーが強すぎず、かといって弱すぎもしない。まさに想像通りの加速をしてくれるのだ。 エンジンは水冷4ストローク2気筒を搭載しており、特に変わった仕様は無いように思えるが、実はこのバイクは“クランク角”に特徴がある。国産車ではW800などに代表される360度位相クランクを採用しており、簡単に言えば2つのピストンが同タイミングで上下しているエンジンだ。 そんな特性のため振動もさぞ大きいのだろうと思いきや、意外や意外、実際はかなりスムーズに回ってくれる。エンジン音もまるでスポーツタイプのようなので、最初は360度クランクとは思えなかったほど。ボアとストローク量が69.0×66.8というスクエア型なことも関係しているのかもしれない。 コーナーはフルパニアの割には曲がりやすく、足回りの性能の高さが伺える。インナーチューブ径50mmと大径仕様なだけあり、ガッチリとした剛性感から車体を傾けても一切不安はない。なんといっても、巨大なロングスクリーンによって走行風をあまり感じないところがポイント。ハンドガードで手への走行風も防げるので、外界からしっかりと“守られている”という安心感が得られた。