「しょせんパート扱い」「学校司書では結婚できない」…専門職なのに年収150万円以下、非正規公務員の嘆き「簡単に人を切っていいのか」
図書館1人で切り盛りしているのに待遇が…
「専門職として図書館を1人で切り盛りし、子どもへの対応力でも経験を積んでいるのに、待遇が見合っていない」。東信地方の市の中学校で学校司書として働く50代女性はため息をつく。 学校図書館の管理運営を担う「図書館の先生」だ。購入図書選びや蔵書点検、貸し出しや返却への対応の他、授業の教材になる本を用意したり、図書委員の子どもと読書週間の催しを企画したりと学校ならではの仕事もある。 学校司書として市内の数校に勤めて十数年目。手取りは月10万円に届かず、年2回の期末手当(ボーナス)を合わせても年収は150万円ほどだ。
収入低い理由は「会計年度任用職員」、時給1000円弱の雇用形態
収入が低い理由は雇用形態にある。1年任期で働く非正規の「会計年度任用職員」で、時給千円弱、1日6時間のパートタイム勤務。時給は正規職員の高卒初任給を時給換算した程度で、引き上げを求めて市に働きかけている。 会計年度任用職員で、同じ市の小学校に勤める学校司書の30代男性は「得難いやりがい」があるとしつつ、「この収入だと、経済的に自立し、結婚や子どもを持つことは考えられない。毎年、いつまで続けられるかと迷う」と心情を打ち明ける。副業をしたいが、学校から「児童や保護者の目がある職場はやめて」と言われ、二の足を踏む。 女性は、学校司書には自分を含めて夫の収入がある既婚女性が多いといい、「しょせん主婦の補助的なパートという位置付けで見られているのかな」とつぶやく。
年収200万円以下の「ワーキングプア」
会計年度任用職員制度は、正規と非正規の不合理な待遇差をなくす「同一労働同一賃金」の一環で、2017年の地方公務員法と地方自治法の改正を経て20年4月に始まった。各自治体でまちまちだった非常勤・臨時職員の募集、採用方法や服務規定などを統一。処遇改善のため、期末手当の支給対象となった。 県内の労働組合関係者によると、県内自治体の多くは期末手当として、6月と12月の合計で正規職員と同じ月給2・4カ月分ほどを支給。今年4月の地方自治法改正で、勤務成績を考慮する「勤勉手当」も来年度からボーナスで支給できるようになった。