「しょせんパート扱い」「学校司書では結婚できない」…専門職なのに年収150万円以下、非正規公務員の嘆き「簡単に人を切っていいのか」
だが、改善は十分でないとの見方も強い。そもそも基本給が低い場合が多いからだ。 総務省は制度導入時に示したマニュアルで、給料や報酬の額には職務経験などを考慮すべきだとする一方、任期が単年度であることを理由に「一定の上限を設けることが適当」と説明。定型的・補助的な業務に従事する事務補助職員は「常勤職員の初任給基準額を上限の目安とすることなどが考えられる」とした。 学校司書の女性が勤める市も、これを踏襲した可能性がある。女性の収入は、年収200万円以下のいわゆる「ワーキングプア(働く貧困層)」の水準にとどまる。
消費生活相談員「来年になれば切られるかもしれない」
会計年度任用職員は不安定雇用でもある。同省のマニュアルは、職員になりたい人の均等な機会確保や能力本位の採用を図るため、毎年度、公募で決めることが望ましい―とする。公募を経ず同じ人を雇うのは3年間に限るといった運用を求めており、実際に制限を設ける自治体が多い。 「来年になれば、切られるかもしれない」。県内の市でパートタイム会計年度任用職員の消費生活相談員として勤める60代女性は不安を口にする。市が公募をせず連続任用するのは5年まで。5年目のこの女性が来春も採用されるかは分からない。 上司の正規職員に消費生活相談員の資格はなく、もっぱら会計年度任用職員の相談員たちが、買い物や契約のトラブルを抱えた相談者に法律に基づき助言をする。業者との間に立って解決を促す「あっせん」には1~3カ月ほどかかる。「資格さえあればできる仕事じゃない。簡単に人を切っていいんでしょうか」。専門職が大事にされない現状は、行政サービスの質を落とす形で、市民のためにもならないと女性は感じている。