中国政府、「少子高齢化」の歯止めにあの手この手 産休・育休制度や保育サービスの充実を打ち出す
中国は今、少子高齢化の加速という社会的課題に直面している。そんな中、中国政府が新たな少子化対策を打ち出した。国務院弁公庁が10月28日に発表した「出産支援政策の改善の加速により子育てにやさしい社会の建設を促進する措置」がそれだ。 【写真】中国の農村部の小学校で放課後に設けられた読書会 2023年の中国の出生数は902万人にとどまり、1949年の(中華人民共和国)建国以来の最低記録を更新した。それに伴う若年人口の減少は、中国社会の高齢化率の上昇につながる。中国民政省などの推計によれば、総人口に占める60歳以上の高齢者の比率は2023年末までに20%を超えた。
■育児費用の所得税控除も 国務院弁公庁の新対策には、出生数の健全な増加を促す一連の措置が盛り込まれた。 例えば、女性の出産前後の支援に関しては、産休・育休制度の改善を進める。具体的には中国各地の地方政府に対して、法に定められた産休・育休を(母親と父親が)確実に取得できるよう、産休・育休制度の充実と実施状況の監督強化を指示した。 さらに、育児助成金などの制度を整備し、地方政府が積極的かつ着実に実施することも求めた。その中には、3歳以下の乳幼児の育児や教育にかかる費用を、個人所得税の特別控除の対象にする案などが含まれている。
幼児期の子育て支援に関しては、保育サービスの供給増加を打ち出した。その実現に向け、地方政府が託児所や保育園に対して運営補助金を支給することや、保育サービスに対する税金や公共料金の減免、保育業界向けの人材育成プログラムの策定などを求めている。 また、少子化の要因になっている子供の教育費や住宅価格の高さ、女性の職場復帰などの問題に関しては、質の高い教育サービスの供給増加、住宅支援対策の充実、労働者の権利保障の強化などを提起した。
■子供が複数なら支援手厚く さらに小中学校期の支援については、学校での学童保育サービスや体験活動プログラムを積極的に展開し、児童・生徒の多様な学習ニーズに応えるとともに、保護者の送迎の負担を軽減するとしている。 国務院弁公庁の新対策は、複数の子供をもうけた世帯が住宅を購入する場合の支援拡充にも踏み込んだ。地方政府に対して、公的住宅基金の貸付限度額の増額などを検討するよう指示した。 企業などに対して、出産後の女性の再雇用を促す政策の強化も打ち出した。とりわけ妊娠中や出産後の女性労働者への支援を手厚くし、出勤・退勤時間の弾力的な運用や在宅勤務などのサポートを法に基づき提供するよう、雇用主への働きかけを強める。
(財新記者:許雯) ※原文の配信は10月28日
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