なぜ若者はNHK党の「迷惑街宣とデマ」を支持したのか…「斎藤知事復活」で広がる"選挙ハック"という闇ビジネス
■PR業務をめぐり「公選法違反」疑惑が急浮上… 最後に、現在問題となっている斎藤元彦さん陣営からPR業務を受託したとされるmerchu社・折田楓さんのブログから、公職選挙法に違反する買収や寄付が行われたのではないかという嫌疑がネット上で騒がれています。本件では、斎藤元彦さんの選挙運動での動画や折田さんのブログでの内容も踏まえて検証がなされ、斎藤元彦さんの代理人への取材の結果「ポスターデザインなど適法な業務に対する70万円の支払いが行われた」との報道もあります。 渦中の折田さんの会社では、2024(令和6)年度「ひょうご仕事と生活のバランス企業表彰」受賞企業であり、兵庫県が行う事業で複数件の受託をしている関係事業者です。原則として、詳細な業務の指示が陣営からあって請け負っているだけであれば問題にはなりません。 しかしながら、折田さん自身が斎藤さん陣営の再選のためのネットPR戦略全般を担ったと標榜し、実際に会議風景ではそれを伺わせる提案・プレゼンが斎藤元彦さんに対して行われているあたりは興味が持たれます。経営者である折田さんや勤務する複数の社員が70万円の受託を超えた選挙運動の基幹業務をボランティアとして候補者張り付きで受託していたとは考えづらく、仮にボランティアなのだとしても一般運動員ではない、業として利益を上げ得る事業体従事者としての働きは無償ならなおさら違法な寄付に該当しかねません(政治資金規正法22条3)。事前収賄や寄付の禁止に該当するレベルでの関与があった疑いは濃いのではないかと思われます。 折田楓さんの選挙運動への関与は適法とは言えなかったとみられる一方で、齋藤さん陣営の選挙での総括主宰者への連座制適用は微妙な情勢で、具体的な内容については起訴されるかどうかも含めて追って報道が出てくるのではないかと思います。 ---------- 山本 一郎(やまもと・いちろう) 情報法制研究所 事務局次長・上席研究員 1973年、東京都生まれ。96年慶應義塾大学法学部政治学科卒業。東京大学政策ビジョン研究センター(現・未来ビジョン研究センター)客員研究員を経て、一般財団法人情報法制研究所 事務局次長・上席研究員。著書に『読書で賢く生きる。』(ベスト新書、共著)、『ニッポンの個人情報』(翔泳社、共著)などがある。IT技術関連のコンサルティングや知的財産権管理、コンテンツの企画・制作に携わる一方、高齢社会研究や時事問題の状況調査も。 ----------
情報法制研究所 事務局次長・上席研究員 山本 一郎