お隣さんに「間違えて開けちゃった…」と開封済みの郵便物を渡された! 内容によっては危なかったと思うのですが、他人の郵便物を開けるのは“犯罪”なの?「誤配」を開けてしまった場合についても解説
郵便物には大切な個人情報が含まれています。お隣さんの家のポストに自分宛ての郵便物が誤配され、「間違えて開けてしまった」と言われたらびっくりしてしまうでしょう。 また、もしも重要な個人情報に関するものだった場合、「取り返しのつかないことになってしまうのでは」と心配する人もいるでしょう。他人の郵便物を勝手に開封する行為は、場合によっては法に触れることもありますが、具体的にはどのような状況が問題となるのでしょうか。 ▼町内会費の支払いを拒否したら「今後ゴミを捨てるな」と言われた! 本当に従う必要はあるの? 本記事では郵便物を勝手に開封する行為とその刑罰について解説します。
他人の郵便物を勝手に開けるのは罪になる
他人の郵便物を勝手に開ける行為を「信書開封罪」といいます。信書開封罪は「秘密を侵す罪」として刑法に規定されており、1年以下の懲役または20万円以下の罰金が科せられる場合があります。 ただし、信書開封罪は「親告罪」といって、被害に遭った人が訴えを起こして初めて成立します。そのため、他人の郵便物を勝手に開けたからといって、その行為が直ちに違法行為として警察に逮捕されるということではないのです。
「信書」とは
信書開封罪の「信書」とはどのようなものをいうのでしょうか。郵便法では「信書」は「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、または事実を通知する文書」とあります。つまり、差出人が受取人に対して、直接メッセージや情報を伝えるために届けた書面ということになります。 そのため、領収書や請求書、結婚式の招待状、免許証や表彰、あるいは受取人名が記載されているダイレクトメールなどは「信書」にあたります。 一方、雑誌や新聞、カタログのように不特定多数に情報提供として発行されているもの、小切手やチケット類のように単なる価値や権利を表すもの、サービスの宣伝であるチラシのようなダイレクトメールなどは、差出人から受取人に対して個別のメッセージや情報にはならず、「信書」には当たらないのです。
「信書開封罪」となる場合、ならない場合
信書開封罪が成立するのは、「正当な理由がない」のに「封をしてある信書を開封」した場合です。そのためハガキは、勝手に読んだとしても封がされていない文書なので、親書開封罪には該当しません。また、すでに開いている郵便物を読んだ場合も「開封」という行為がないため、罪には問われません。 次に焦点となるのは、「正当な理由」があるか否かです。正当な理由とは、差出人や受取人の同意のもと、開封を依頼されていたり、公的な業務として開封する権利が認められていたりする場合があてはまります。 今回のケースだと、お隣さんは「開封してもいい」と許可を得ているわけではないので「正当な理由」がないのに、「信書を開封」したということになります。 ただし、刑法では犯罪が成立するのには「故意」があるか、つまり「悪いと分かっていて、あえて行為を行ったか」という点が重要なポイントです。 お隣さんが「自宅のポストに入っているのだから、当然自分宛てだ」と誤認してうっかり開封してしまった場合、お隣さんには故意がないため、信書開封罪は成立しないということになるのです。しかし、誤配だと気付いていたのに開封した場合は、故意による開封になるため信書開封罪が成立するということになります。