クジラがレジ袋を好物のイカと間違えて食べている恐れ、大量誤飲の原因か、最新研究
「最悪の苦しみ」
海洋動物によるプラスチックの摂取を研究しているサボカ氏は、プラスチック製品のエコーが「クジラの獲物にここまで似ていることに少々驚きました」と言う。 氏は、深海のクジラを観察することはできないため、一連の実験とまったく同じようにプラスチックを探知しているとは限らないと指摘しつつも、研究者らは利用可能な手段で実際の状況をまねる素晴らしい実験をしたと称賛する。 海洋に漂うプラスチックごみの量が増え続け、それを摂取する動物たちに悪影響が及んでいることを考えると、これは重要な研究だ。 プラスチックごみを食べてしまうことは「動物たちにとって最悪の苦しみです」とサボカ氏は言う。「彼らは苦しみ、飢えていきます。けれども自分では食べているつもりなので、自分に何が起こっているのかを理解できません」 プラスチックメーカーはクジラの獲物とは異なる音響特性を持つプラスチック製品を開発できるはずだ、とレダエリ氏は提案するが、そうすると、今度はクジラがプラスチック製の網などに絡まりやすくなる可能性があると認めている。 別の解決策としては、既存のプラスチックを、海やクジラの胃の中ですぐに分解される生分解性の素材に置き換えることも考えられる。 3人の専門家の意見は、まずはプラスチックの生産量を減らす必要があるという点で一致している。サボカ氏とメリル氏は、政策を変更して廃棄物が海洋に流入しないようにすること、特に、不必要に使い捨てにされる品々をなくすことが理想的なアプローチだと主張する。 レダエリ氏は、「いつの日か、クジラたちはプラスチックと餌の違いを学習するかもしれません」と言う。だがそれまでは、「私たちが海にプラスチックを投入し続ければ、それだけ多くの動物が死ぬことになります」
文=Sean Cummings/訳=三枝小夜子