自分のことを好きになったら引退しよう――「うっせぇわ」が社会現象に、顔出ししないAdoの原動力は「劣等感」
今も私は私のことが嫌い
Adoの躍進は続き、「うっせぇわ」以降も、矢継ぎ早のリリースとなった「レディメイド」「ギラギラ」「踊」とヒットを連発していく。そして、メジャーデビュー後の集大成となるのがファーストアルバム『狂言』だ。ボカロ文化圏を知る音楽ファンにとっては夢のようなクリエーター勢が一堂に集結した作品で、ファーストアルバムにしてベスト盤のような豪華な内容となっている。 「“歌い手”として活動を始める前から、私はいつかアルバム作品を出したいという夢がありました。ついにかなうということで感慨深いものがあります。大好きなボカロPの方々が演目(楽曲)に物語の魂を込めてくださっていて。しかも、ひとりひとりまったく違う色、景色、世界観を持っていて。私自身、いちリスナーとしていい楽曲ばかり聴けて、ほんとに贅沢なアルバムになったと思っています。私の歌によって、リスナーの方を観客として没入感高く引き込んでいけたらなって」
『狂言』のリリースに続き、かねて夢だったというZepp DiverCity(TOKYO)で初のワンマンライブ『喜劇』を今年4月に開催する。 「高校2年生ぐらいのときにふと、『私はこのまま活動を続けていていいのかな?』って考えたんですよ。『このままずっと歌っていたら、ほぼニートみたいになってしまうんじゃないか、ちゃんと大きなことをやりたい』って考えたとき、YouTubeの生配信で200人のリスナーさんを前に『Zepp DiverCityでライブをします』って言って。宣言した自分、それから小学生の自分のためにも精いっぱいライブを行いたいと思っております」 「今も私は私のことが嫌いですし、あまり自分に自信は持てませんけど、ちょっとした希望や自信から始まったんです。純粋に歌やボカロが好きでしたし、続けていればきっといつか自分のことが好きになれるかもしれないって、未来に託していたんです。私は自分のことを好きになったら引退しようって思っているので、まだまだ続きそうです」
--- Ado(アド) 2002年10月24日生まれ、東京都出身の歌い手。2020年10月に配信リリースしたメジャーデビュー曲「うっせぇわ」のミュージックビデオとストリーミングの合計累計再生回数は4億回を突破。2021年2月に配信リリースした「ギラギラ」、同年4月に配信リリースした「踊」も、それぞれストリーミング総再生回数1億回を突破。ストリーミングでの累計1億回再生楽曲を3曲保持している初の10代ソロシンガー。2021年のオリコン年間ランキングの「アーティスト別セールス部門新人ランキング」で1 位を獲得(CD 作品未発売のアーティストでは史上初)。