自分のことを好きになったら引退しよう――「うっせぇわ」が社会現象に、顔出ししないAdoの原動力は「劣等感」
メジャーデビュー曲「うっせぇわ」が誰もが知る大ヒットとなったAdo。YouTubeでのMV再生回数は2億回を超え、その曲名は2021年の「新語・流行語大賞」トップテンにも選ばれた。素性を明かさず顔出しもしないまま、一気にスターダムへと駆け上がった19歳。彼女は「自分のことを好きになったら引退しようって思っている」と語った。(取材・文:ふくりゅう/画像提供:ユニバーサルミュージック/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
高3で歌った「うっせぇわ」に社会人から共感が
2020年10月23日、ユニバーサルミュージックから「うっせぇわ」でメジャーデビューしたAdo。楽曲は2021年を通じて話題となり、社会現象と言える大ヒットを体験した。 「『1000万回再生いけばいいな』とか、漠然とした成功イメージはあったんですけど、ほんとにそうなるとは思っていなくて。しかも再生回数が今は1曲で億を超えているんですよ。『あれ? あれ?』みたいな感じで……。ほんと、いまだに実感がないですね」
国民的ヒットで、Adoを育てたボカロ文化圏を超えたリスナーへと「うっせぇわ現象」は広がっていく。その反動か、アートワーク含め「『うっせぇわ』=Ado個人」といったパブリックイメージものしかかってきた。「うっせぇわ」は、あくまでボカロPのsyudouが作詞作曲した楽曲であり、Adoはその世界観を“歌い手”として演じたシンガーなのだが……。 「『うっせぇわ』を歌ったとき、私は高校3年生でした。学生の身で、社会人を連想させる歌詞のすべては理解できないので、共感できる『怒り』という共通点からいかに『うっせぇわ』という楽曲を表現するかを考えました。社会人の方からしたら、なんでこんな学生が歌っているんだっていう思いもあったと思います。たまに『社会人です、共感します』みたいなコメントをいただいて、『ああ、学生の私が歌っても共感してくださったんだ』みたいなこともありました。ほんと、すごいパワーのある曲をsyudouさんは書き下ろしてくださったなって、しみじみ思いましたね」