元日本代表主将“ツネ様”宮本恒靖はガンバ新監督として成功できるのか?
2014年のワールドカップ・ブラジル大会では、FIFAが指名した10人のテクニカルスタディーグループの一人として技術や戦術、傾向などを分析した。同年Jリーグの特任理事にも就任。このまま日本サッカー界の中枢に関わっていくと思われた矢先に、ユースから所属した古巣へ復帰した。 「自分の経験という強みを、あのタイミングで生かせるものは何かと考えていました。選手をやめて間もないなかで伝えられることもたくさんありましたし、以前から指導者にも挑戦したかったので。もちろんFIFAマスターで学んだもの、見たものも大事にしながらも、それだけにとらわれずに、ですね」 迎えた今シーズン。クルピ前監督のもとでトップチームとU-23チームは再融合し、宮本監督はトップチームのコーチも兼任した。J1でデビューした高江を含めて、選手たちの行き来が活発化するなかで、宮本監督も新たな見聞を広げていった。 「去年よりは見なければいけない選手の数も多いし、自分の判断基準のなかでも新たに求めなければいけない部分も出てくる。クルピ監督の哲学なども学びながら、チームをよくしていくために自分に何が言えるのか。考えるところは本当にいろいろありますよね」 こう語っていた宮本氏にとっては、まさに青天の霹靂に感じたかもしれないトップチームの監督拝命。それでも、将来の日本代表監督だけでなく、FIFA仕込みの知識を生かした、日本サッカー界全体をけん引する稀有な存在になると期待される男が描く、人生の設計図が変わることはない。 「今年や来年に何をしているかによって、その先が決まってくると思っています」 思い描いていたターニングポイントは、育てながら勝つことを求められ、約半分の日程を終えたJ3戦線で10位に踏ん張らせていたU-23チームの監督から、J1歴代2位の8個の国内タイトルを獲得しながら、2015年度の天皇杯制覇を最後に無冠が続くガンバの指揮官へと変わった。 愛着深い古巣をJ2への降格危機から脱出させ、西の横綱としての存在感を再びまとわせるために。24日から始動する宮本監督は、鹿島アントラーズをパナソニックスタジアム吹田に迎える、28日の明治安田生命J1リーグ第18節で注目の初陣に臨む。 (文責・藤江直人/スポーツライター)