元日本代表主将“ツネ様”宮本恒靖はガンバ新監督として成功できるのか?
複数のJクラブから届いたオファーからガンバを選んだ高は、現役時代を含めた宮本監督に対して抱いていた冷静沈着でスマートなイメージが、「いい意味で覆されました」と苦笑いしながら明かしてくれたことがある。 「思っていたよりもすごく熱いというか、勝利に対して本当に貪欲で、スカウティングや試合前の映像分析、相手選手の特徴などに対しても非常に細かく言ってくれます。通常の練習だけでなく自主練習でも、選手個々の課題についてしっかりと指摘してくれるんです」 高はルーキーイヤーの途中から、U-23チームのゲームキャプテンを務めている。「直接的には何も言われていないんですけど、試合前になると自分のロッカーにキャプテンマークが置かれているんです」と高自身が振り返った言葉に、宮本流の選手育成術の一端が垣間見える。 「高江や高とは去年からずっといい時間を過ごしていますし、特に高のような選手にはキャプテンとしての責任感をもってプレーしてほしいと思っているので。やはり選手やチームが成長している瞬間や試合に勝った瞬間には、監督としての楽しさを感じますよね。昨シーズンを戦った選手たちがたくましくなって、今年のパフォーマンスにつながっている部分もあるので」 西野朗監督が長期政権を築いたガンバ、ヴィッセル、そしてフィリップ・トルシエ及びジーコ監督に率いられた日本代表でキャプテンを務めた。指導者の道を歩み始めたいま、監督という仕事に対してこんな思いを抱いている。 「キャプテンは監督を見ながら、チームのなかでリーダーを務めていく。監督の仕事は本当に多岐に渡りますし、チーム内の隅々まで観察しなければいけないし、キャプテンや他の選手に加えてスタッフともコミュニケーションを取って、チームをいい方向に導いていかなければいけない。ほぼすべてを決断することも含めて、いろいろな能力が求められるとあらためて感じています」 現役引退後の2012年9月には、国際サッカー連盟(FIFA)が運営する大学院「FIFAマスター」へ第13期生として入学。スポーツに関する組織論、歴史や哲学、法律などを学び、晴れて卒業した。入学当時はまだ35歳。指導者以外にも自らの可能性を広げたい、という熱き思いが伝わってくる。