ソニックやぷよぷよが小児病棟に、セガが安心できる院内環境づくり
記事のポイント①セガと乃村工藝社が病院の小児部門を改装した。②ソニックなどのキャラクターを活用し、怖くない病院を目指した。③プロジェクトのコンセプトは「ものがたりのある病院」だ。
セガと乃村工藝社はこのほど、東京慈恵会医科大学附属病院母子医療センター(東京・港)の小児部門エントランスなどを改装した。ゲームのキャラクターの「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」や「ぷよぷよ」を活用し、子どもたちが安心して過ごせる院内環境を目指した。治療と向き合い、病気を乗り越えようとする子どもたちを応援したいという思いからだ。(オルタナ総研=坂本雛梨)
1階エントランスに入ると、「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」のキャラクターが目に入る。随所に施されたキャラクターは、病気に立ち向かう子どもたちの「ものがたり」の序章をイメージしてデザインされた。5階では、廊下から処置室内まで「ぷよぷよ」が誘導し、病院の怖さを感じさせない空間になっている。
東京慈恵会医科大学附属病院母子医療センターは2001年に開設し、これまで首都圏の小児・周産期医療を支えてきた。 佐村修・同大学附属病院 母子医療センター長は、「病院は機能的な面を重視し、環境面や患者への配慮が行き届かないことを課題に感じていた」と話す。
大石公彦・小児科学講座担当教授/附属病院小児科診療部長は、米国の医療現場での経験から、子どもたちにとって「居心地の良い空間」を作りたいと考えた。 「米国の病院では、スポーツ選手などのヒーローが寄付を通じて様々な支援を行っていた。彼らの行動やそれによって作られた空間が子どもたちに力を与えていることを目の当たりにした。当院も子どもたちが元気を取り戻せる空間にする必要があると強く感じた」(大石氏)
大石氏の思いに賛同し、セガはコンテンツ・キャラクターなどによる環境づくり、乃村工藝社は空間づくりの企画、デザイン・設計、施工を担当した。 プロジェクトのコンセプトは「ものがたりのある病院」だ。子どもたちが病院を舞台にものがたりの主人公(ヒーロー)になって、キャラクターと共に自分たちの体や治療内容を理解していく。セガと乃村工藝社は空間づくりを通して、治療に向き合い、病気を乗り越えようとする子どもたちを応援する。 両社は、医師、看護師、保育士などの医療スタッフとどんな空間にしたいかワークショップを行いながら空間づくりを進めた。大石氏は、「このプロジェクトが子どもたちだけでなく、その家族、医療スタッフの心のケアにもつながれば」と語った。