Appleはなぜ“Mac週間”でラインアップを更新したのか 透けるIntelチップからのリプレースとAIへのこだわり
「Apple Intelligence」への準備が進むMac
Mac向けの最新OS「macOS Sequoia」には、Apple Intelligenceと呼ばれる新しいAI機能が搭載されている。現時点では米国英語でのみ利用が可能だが、2025年4月以降には日本語を含む複数の言語で順次利用可能となる旨が発表済みだ。 クラウド上のAIサービスを言語の壁を突破するために活用している人は多いだろうが、Apple Intelligenceも使いこなせば、言語の壁もかなり突破してくれるツールになりうる。日本人にもかなり大きな意味のある機能だ。 Apple Intelligenceが対応するデバイスには、パーソナルかつプライベートの情報が集まってくる。スマートフォンやPCで扱う情報を言語や画像を問わず識別/生成可能で、異なるアプリ間で扱う情報の連携を実現するなど、個人向けインテリジェンスシステムとして、極めてユニークな存在になることを目指している。 実際に、この機能がどこまでデバイスのSoCやメモリに対して負荷をかけるのかは想像する他ない。しかし、1つ分かったことがある。 それはApple Intelligenceの機能のほとんどが、オンデバイスで動作することだ。オンライン状態だと一部の処理がクラウドに投げられることもあるが、それでも処理の多くはオンデバイスで動作している。これは米国英語で使えるβ版でも確認できるが、Appleへの取材を通しても明らかとなっている。 先に触れた通り、Macの場合はApple SiliconでさえあればApple Intelligenceが利用できる。2020年から登場したば第1世代のM1チップファミリーも対象だ。 では、最新のM4ではどのような違いが得られるのだろうか。結果の品質に関しては変わりない一方で、応答性には大きな違いが出る。つまり、リクエストに対して速やかに結果を出してくれる価値こそが、Apple Intelligenceに最適化された最新モデルの価値ということになる。 また、Appleははっきりと明言しているわけではないが、このタイミングでモデルチェンジしないものを含めて、全てのMacのメモリを16GB以上に統一したのは、Apple Intelligenceを使いこなしていく上で、さまざまなシステムやアプリケーションにまたがった質の高い回答を実現するために、メモリの量がそれなり必要になってくるからではないかと想像している。トークンの最大数を増やすために、メモリを増やしたという見立てだ。 まだ全てではないものの、Apple Intelligenceは少しずつOSの中に統合されてきており、標準搭載のアプリでも活用されている。これについてはまた別途、取り上げていく機会を作りたいと思うが、幅広く製品ラインアップを一新したこの3日間は、Apple Intelligenceへの最適化を目指したものだろう。