Ken Yokoyama、大いに語る 「普遍的なこと」を歌うようになった理由
セトリの変化
―Minamiさんもライブでセットリストが徐々に変わることから刺激は受けていますか。 Minami(Gt) そうだね。やっぱり、そういう曲がない場合は久しぶりにやる曲に頼るしかなくなったりするじゃない? 「あ、この曲、久しぶりに聴いた!」みたいな。でも、そういう曲って今のメンバーで録音したものじゃないことが多いし、このメンツでつくってレコーディングした曲を足せれば過去のものに助けを求める必要はないし、少しずつでも前に進んでる感じもするのよ。 ―お客さんからすると同じKen Yokoyamaの曲だけど、バンドからすると今のメンバーでつくった曲をやりたいという気持ちになるものなんですね。 KEN それは俺も含めてそうだね。このバンドはいくつかのフェーズに分かれてて、EKKUNが入って初めて出したのが『Bored? Yeah, Me Too』(2020年)でしょ? それ以降の曲は自分らにとって「このメンバーでつくった曲」。もうひとつのフェーズは、Junちゃん(Jun-Gray)とMinamiちゃんが2009年に入って以降の曲。 2010年に『Four』を出したから、それ以降の曲をチョイスしたいってことはすごく意識してるかな。で、残りのフェーズは『Four』より前。だいたいその3つに分かれてる。 ―Minamiさんの場合はどうですか。 Minami 俺もそういう感覚はもちろんある。『Four』以降・以前みたいな感じ。もっと言うと、俺の中ではさらに『The Cost of My Freedom』とサージ(前ベーシスト)が加わってからの作品(『Nothin’ But Sausage』と『Third Time’s A Charm』)の2つに分かれるんだよ。 ―へぇ~! KEN あ、さっきは細かすぎると思って言わなかったけど、俺の中でもそこは分かれる。 Minami サージが作曲に参加するようになってからの曲ってかなりサージ色が濃いというか、日本人の感覚にはあまりない要素があって。それをやるのが嫌なわけじゃないけどなんか違うことをやってる感覚がある。どの曲も好きだし、やってて楽しいんだけどね。 ―違和感、とまではいかないぐらいの何かが。 Minami そうそうそう。 KEN もっと厳密に言うと、1st(『The Cost of My Freedom』)、2nd(『Nothin’ But Sausage』)、3rd(『Third Time’s A Charm』)は全部色が違うの。1stはほぼ俺1人でつくったもので、2ndは曲は俺が作ったけど、歌詞はサージとほぼ一緒に書いた。レコーディングなんか俺とGUNNちゃんだけでやったしね。 ―そうでしたね。 KEN 3rdになると特に歌詞の面、あとは作曲の面でも少し2ndよりもサージの色が濃くなる。そんな感じでこの3枚でもまた全然違うんだよな。だからお客さんには関係ないこととはいえ、考える。 ―じゃあ、たとえば「I Love」をやるときはどうなんですか。この曲は今もライブでよく演奏してるし、さすがにこれだけやってると今の4人の音として捉えられるんですかね。 Minami それはある。 KEN でも、まず今の4人のバージョンをつくるために練習するんだよ。そういう曲をスタジオで練習すると面白くてさ、「でも、レコーディングされたもの(原曲)を聴いてみると……」って会話になるわけ。そこで「レコーディングされたものなんて今の俺たちに関係なくね?」ってなったり。そういう話は未だに飛び交ってる。