実は「安く買えてラッキー!」と喜んでばかりもいられない…「送料無料で当たり前」の危ない落とし穴
◆送料無料が普及した背景
消費者にとって、送料無料であれば商品価格のみで商品を購入でき、別途必要な配送費用を支払う必要はありません。消費者にとってはうれしい仕組みですが、EC事業者や配送を担う物流事業者ではさまざまなコストが発生しています。 送料無料が普及した背景には、以下のような要因が挙げられます。 1:消費者にとっては送料の安さが注文の決め手 リサーチ&マーケティング支援を行なう株式会社ネオマーケティングが2022年に「EC」をテーマにした調査を行いました。この中で、ECサイトを選ぶ際の決め手No.1となったのが「送料の安さ」でした。「やや重要」も含めると88.8%の回答者が「送料の安さ」を重視しています(※2)。 さらに、消費者が「うれしい」と感じる送料の設定について最も多かった回答が、74.1%を占める「全品送料無料」でした(※2)。このように、“送料”が消費者にとって購入を決めるキーワードとなっているのです。 2:送料がカゴ落ちの発生理由となってしまうため 「カゴ落ち」とは、ECサイトを訪れた消費者が商品カートに入れたものの、決済まで至らず、サイトから離脱してしまうこと。数あるサイトの中から、せっかく自社サイトにアクセスしてくれたにもかかわらず、ユーザーが離脱することはEC事業者にとって大きな機会損失です。 このカゴ落ちの要因の一つとして挙げられているのが送料です。決済段階で送料が上乗せされると「思っていた金額より高い」と感じて、消費者はそこで購入を諦めてしまうのです。 3:送料無料が集客力と企業のブランディング効果になっている 先述したように、消費者は送料無料を求めていますから、EC事業者にとっては送料無料をアピールすることが集客力につながり、ブランディング効果にもなるわけです。 また、Amazonなどの大手ECサイトが送料無料を打ち出すことによって、他社もそれに追随せざるを得なくなり、送料無料が一般化している側面もあるといえるでしょう。