25年米LPGAツアーに参戦する日本勢を中心に、ツアーの展望をプロが語る
そして参戦1年目となる山下、竹田、岩井明愛・千怜選手はというと、山下選手は抜群の安定感と海外メジャーでの経験を踏まえて自分のゴルフを見失わない強さがあると思います。正確なショット、アプローチやパットの技術にメンタル面の安定から、コースがハマれば優勝も狙える位置で戦う姿が見られるはずです。 対照的に飛距離を武器に攻めるプレースタイルの竹田選手ですが、叔母で米女子ツアー参戦経験もある平瀬真由美プロは、「TOTOジャパンクラシック」で優勝した際に「簡単には通用しない」という辛口コメントを現地で聞いていましたが、「イチからやり直すくらいのつもりでやってほしい。日本ツアーでは姉(竹田にとっては母)と一緒に車で転戦しながら、少しずつ自分の地位を良くしていって、優勝に繋げていった。あまり行ったり来たり(日米の往復)はしないほうが良いかな」と武者修行のような気持ちでトライして欲しいと話していました。 今季の成績はショット力にプラスして「アプローチの技術が上がったから」と竹田選手は話していたので、芝質が毎試合のように変わるアメリカでどう対応するかは見てみたいですね。 二人そろっての参戦となった岩井明愛・千怜選手は、やはり二人で切磋琢磨しながらここまで登って来ていたので、二人ともQシリーズを突破できたことは大きいと思います。コースセッティングやコンディションなどお互いに話すこともできますし、どちらか一人が好成績を収めれば、もう一人も追いつき追い越せで頑張る姿が想像できます。家族全員で英会話も教わっているというので「アウェイ感」も早い段階で払拭できるかもしれません。
グリーンに関して言うと、転がりは国内ツアーのほうが優れているので、その週のグリーンにどれだけ対応できるかは大きな課題になると思います。2年前に西海岸での「シェブロン選手権」、と「JTBCクラシック」での現地取材で感じたのは、当時会場となっていたミッションヒルズCCのグリーンは転がりも良好で渋野日向子選手は4位でフィニッシュしましたが、翌週のサンディゴ開催の「JTBCクラシック」では西海岸特有の芝質に手を焼き下位で終えていました。 ジャストタッチだと切れてカップを外れ、強めのタッチだとすり抜けることが続くとメンタル面も削られます。国内ツアーのように各メーカーがバスを用意して選手をサポートする体制ではないので、予備のパターを用意するなど、どれだけ準備できるかもポイントになりそうです。そう簡単には行かないと思いますがどの選手にも優勝の可能性は大いにあると思いますし、日本勢同士が上位で争う場面も見られることでしょう。 いずれにしても先に参戦している日本人選手から情報をもらえるでしょうし、時には食事を共にしたり楽しく過ごす時間もあるはずです。メジャー制覇も夢ではない位置まで迫っている日本勢の活躍には期待しても期待し過ぎることはないはずです。 写真/有原裕晶、岡沢裕行、大澤進二、姉崎正
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