60代夫婦が本当に意識すべき年収の壁とは?
「年収を増やしたいけれど、配偶者控除や社会保険の壁が気になる...」 60代の多くの夫婦が直面するこの悩みに、大きな変化が訪れています。年収の壁の見直しや撤廃に向けた動きが進むことで、従来の「103万円の壁」「106万円の壁」の考え方が変わりつつあります。 【画像】60代独身男性の平均年収や貯蓄額、生活費はいくら? 今回は、60代夫婦、特にパートで働く妻・夫がいる場合、本当に意識すべき壁とは何かを考えていきたいと思います。
60代パートが直面する年収の壁の実態を知っておこう
60代のパートで働く妻・夫が直面する年収の壁は、主に103万円、106万円、180万円の3つです。103万円の壁は所得税の課税最低限であり、これを超えると所得税が発生します。とは言っても、年収が104万円になっても税金が増えるのは数百円なので気にするほどのものではありません。 多くのパート主婦・主夫が103万円の壁を意識していると言われていますが、これには本人の所得税以外の2つの理由が考えられます。 1つ目は、配偶者である夫(妻)の勤務先からの配偶者手当の支給です。配偶者手当は会社ごとのルールによるところではありますが、多くの会社で採用されている基準が103万円であることが影響しているようです。 2つ目は夫(妻)の所得税に関わる配偶者控除ですが、これには誤解があります。たしかに、2017年まではパート主婦・主夫の給与収入が103万円を超えると配偶者の税金が増えていました。しかし、改正により150万円まで増えても配偶者の税金には影響がありません。 次に、106万円の壁です。2024年10月から従業員51人以上の企業で週20時間以上働く場合、社会保険に加入する必要が出てくる目安が年収106万円になります。正しくは、月額8.8万円以上の所定内賃金、2ヶ月を超える雇用に見込み、学生ではない、といった要件をすべて満たす必要があります。11/15に開かれた厚生労働省の社会保障審議会年金部会で壁撤廃に向けての動きが進展していると報道されています。 最後に180万円の壁です。この金額を超えると配偶者である夫(妻)の健康保険の被扶養者から外れ、パート主婦・主夫自身で国民健康保険に加入する必要が生じます。すでに国民年金の強制加入からは外れていますから、パート主婦・主夫自身が負担するのは、原則、健康(介護含む)保険料に留まります。 以上が、60歳以降にパートで働く方が意識すべき3つの壁になります。