ニール・モペイ。サッカー界で最も“嫌われている”選手が示す矜持
境界線を守りつつ挑発を続ける
これまで何度もいざこざを起こしてきたモペイは、英紙『The Sun』が選ぶ「うざい奴ランキング」でウルグアイ代表FWルイス・スアレスなど抑えて2位に選ばれたことがある。だから彼は“嫌われ者”なのだが、超えてはいけない境界線はちゃんと心得ている。「個人的な攻撃はしないし、一度も限度を超えたことはないはず」と、モペイは英紙『The Times』のインタビューで説明している。「ギリギリまでいくけど、相手選手のプライベートや家族について触れたことはない。皆さんは試合中の姿だけで選手の人間性を判断するが、それが真の姿とは限らないんだ。僕はどう思われようが気にしないがね」 そしてモペイは、ちゃんと計算して踏み込んでいる。「みんなサッカー選手のことを『つまらない』と言うよね。それなのに僕が何かすると『アイツは最も嫌われている選手』と言われてしまうんだ。僕にとってフットボールは遊びであり、エンターテインメントなんだ。僕は楽しんでいるだけさ。そしてピッチ上では、勝つために何でもする。自分の発言で相手が苛立ってミスをしてくれるかもしれない。この戦法はなかなか効き目があるんだ。相手の感情を揺さぶることができれば最高さ」 当然、リスクはある。スパーズ戦でゴールセレブレーションを真似た時は、結局2-3の逆転負けを喫してしまい、試合後にマディソンから「彼(モペイ)は全然ゴールを決めてこなかったから自分のゴールセレブレーションがないのさ!」と揶揄された。それでもモペイは、しっぺ返しを承知で相手に食って掛かる。その性格は親譲りだという。フランス生まれのモペイだが、母親はアルゼンチン出身で「母は良い意味で感情豊かで、何か発言することを臆さない」そうだ。 だからモペイは、これからも「超えてはならない一線」だけは超えることなく、チームを勝利に導くために相手選手を挑発し続けることだろう。