そこじゃなくない?「変なところにこだわる人」を瞬時に変える方法とは
ASD(自閉スペクトラム症)の人は周囲とのバランスを保つことが不得手で、相手の気持ちを汲むより先に、自分が思ったことを先に口にしてしまうという特徴がある。その結果、周囲にあらぬ誤解を生み、仕事やプライベートでトラブルに見舞われることも。こうしたピンチを招かぬように役立つテクニックを精神科医が伝授する。※本稿は、司馬理英子『もしかして発達障害?「うまくいかない」がラクになる』(主婦の友社)の一部を抜粋・編集したものです。 【この記事の画像を見る】 ● 自分の直接のミスではないのに 謝るなんて納得できない きまじめで融通がきかないのは、ASDの人によく見られる傾向です。ここに登場するOさん(34歳)は、もし自分が発注ミスをしたのなら謝ったでしょう。でも担当したのは他の人なので、それはミスをした人の責任だと思ってしまいます。謝れと言われても、納得できない気持ちが勝ってしまいます。Oさんのそういう気持ちは周囲にも伝わりますから、だんだん会社にいづらくなるかもしれません。 ▼Oさん(34歳・男性)の場合 人は、ひとりで生きているわけではありません。組織で働いていれば多くの人は、自分が組織の一員だということを、理解しています。ところがASDの人は、自分の問題を周囲と結びつけて考える力、周囲の問題を自分ごととしてとらえる力が弱いのです。 発注ミスをしたのは、自分が働く会社の同僚です。組織で仕事している以上、これは自分の問題でもあるのです。会社を代表して「申しわけありません」と謝らなくてはならない場面なのです。しかし、その想像力が働きにくい、全体を見る力が弱いのです。頑固に意地を張り続けて、問題がどんどん深刻になってしまうのです。
● 「ごめんなさい」のひと言は あなたを助ける大切なフレーズ 自分は悪くないという思いにとらわれると、違う視点をもちにくいことはASDの人によくみられます。こういうタイプの人に知っておいてもらいたいのは、「ごめんなさい」のひと言があれば許されることがたくさんあるということです。すぐに謝ればトラブルは収まるのに、それがないから周囲の目がどんどん厳しくなる。「ごめんなさい」は、生きづらさを抱えているあなたを助けてくれる大切なフレーズなのです。 裁判では、相当にひどいことをした人でも、「改悛の情がある」(反省を態度で示している)と刑期が短くなることもあります。謝罪にはそういう力があるのです。特に日本は、謝った人にはわりあい寛容な社会です。謝ればすべてが解決するわけではありませんが、必要なときにきちんと謝ることの大切さを知っておくと役立つ場面が多いです。