そこじゃなくない?「変なところにこだわる人」を瞬時に変える方法とは
● 全体を見渡すことが苦手で 枝葉のところで足踏みしてしまう ASDの人は、全体を見通すのが苦手なため、優先順位が決められないということがよく起こります。重要なこととそうでないこととの区別、すぐやるべきかあと回しでいいのかの区別がつきにくい。こだわりも強いので、自分のやり方で1つずつ丁寧に仕上げていこうとします。そして何かひっかかることがあると、そこで足踏みしてしまうのです。 ▼Tさん(27歳・女性)の場合 Tさん(27歳)は、自分が考えた企画のことを優先するあまり、急ぎで片づけなければいけない事務的なことをあと回しにしてしまいました。 そして、いざとりかかると、郵便物の体裁が気になってしまい、一向に仕事が進みません。自分の細かなこだわりよりも、期日までに出すことのほうが大事だという優先順位がわからなくなっています。 時と場合によっては、この細かなこだわりがクオリティの高い仕事につながることもあるでしょうが、この場合、優先すべきは期日です。 大事なことがおろそかになりがちなのはADHDも同じですが、理由が違います。全体を見渡すのが苦手でこだわりの強いASDとは違い、ADHDの場合は次々に目移りしてしまうからのようです。
● やるべきことが複数あるときは リストやチャートで視覚化しよう ASDの人をあらわす言葉に、Visual Thinker(ビジュアルシンカー=見て考える人)というのがあります。ASDの人は耳で聞くよりも、目で見たことのほうが頭に残りやすい。口で言われるより絵や文字で伝えられたほうが、理解しやすいのです。優先順位がつけられなくて失敗が多い人は、この特性を利用しましょう。 やるべきことがいくつかあるときは、それをリスト化する。これはとても大事、これはあと回しでいいということも書き込みましょう。重要度を★の数やイラストで示すと、よりわかりやすくなります。チャートや計画表を作るのもいいですね。職場なら上司や同僚に相談して、手順の中でポイントになる部分を示してもらいましょう。自宅に来客の予定がある場合は、いつ、誰が、何を準備するかの手順表を作る。どんなことも目に見える形にすることで、見通しがつきやすくなります。
司馬理英子