神山健治監督、アニメは最大の武器 『ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い』に見出した可能性
J・R・R・トールキンのファンタジー小説「指輪物語」を3部作で実写映画化した『ロード・オブ・ザ・リング』。同作の200年前を舞台に、騎士の国・ローハンの運命を左右する戦いを描いたアニメーション映画『ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い』が劇場公開される。同作を手がけたのは、日本のアニメ業界を牽引する神山健治監督だ。日本が誇る手描きアニメーションでファンタジー巨編の映画化に挑んだ神山監督が、制作におけるこだわりや、実写三部作を手がけたピーター・ジャクソン監督との交流について語った。(取材・文:編集部・倉本拓弥) 【動画】実写3部作につながる!『ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い』日本版予告編 小説「指輪物語 追補編」のエピソードに基づく本作。ヘルム王に恨みを抱く男・ウルフの反乱によって、滅亡の危機に瀕したローハンを舞台に、ウルフの幼なじみであるローハンの若き王女・ヘラが、国の未来を左右する戦いに身を投じる。
わずか11ページしかない原作エピソードを映画化
Q:手描きのアニメーションで『ロード・オブ・ザ・リング』を映像化することに対して、当初は「とても難しいのでは」と考えていたそうですが、本作を引き受けた決定打は何だったのでしょうか? 決定打は、自分で映画を撮ってみたいということでした。『ロード・オブ・ザ・リング』の映画を撮るチャンスなど、そう多くはないだろうと思ったからです。ただ、作画のアニメーションで作ってほしいというオーダーでしたので、2,000騎の馬が登場する合戦シーンなど、手描きだとどう考えても難しい。それだけのアニメーターを集められるかどうかなど心配事が多く、気軽にOKはできませんでした。
Q:初めて『ロード・オブ・ザ・リング』実写映画を観た時、監督自身はどのような感想を抱きましたか?
ピーター・ジャクソン監督が『ロード・オブ・ザ・リング』を撮るまでは、トールキンの世界を実写映画化することは不可能と思われていた。ホビットやエルフがいる世界観を、説得力をもって描き出せるのか。ファンタジーはSF以上にハードルが高いと思うんです。そんな中で、『ロード・オブ・ザ・リング』を観た時、本当に中つ国があるとしたらこういうことなんだろうなと思うぐらいの衝撃を受けました。続編2作も公開初日に観に行くぐらいファンになりましたし、1作目は何度も映画館に足を運びました。