TikTokではじまるファンコミュニティ 50歳のダンス女性や、ホタテ漁師を熱烈応援
動画アプリTikTokから小さなスターが各地で生まれている。エプロン姿でダンスを踊る女性「かず」さんはオリジナルカレンダーを製作し、完売した。「道東の漁師」を名乗る男性はフォロワーが71万人を超え、東京のタレント事務所と契約するに至った。マスメディアではなく、TikTokではじまるファンコミュニティ。最前線に迫った。(取材・文:堀 香織/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
主婦が“大人のアイドル”に
動画にはリビングルームらしき一室が映っている。エプロン姿の女性が現れ、一礼ののち、TWICEの「Candy Pop」という曲に合わせて踊り出す。長い手足を生かしたキレと迫力のあるダンス、はじけるような笑顔が輝く。 別の日の動画。やはり女性はエプロン姿で現れ、マイクを片手に工藤静香の「嵐の素顔」に合わせて踊り出す。どちらもスマートフォンのアプリTikTokの動画で、投稿者の女性は「かず」さんだ。コメント欄には「今日も元気を貰ったよ」「センスいい、かっこいい、好きになってもいいですか?」と称賛の言葉が後を絶たない。
初投稿は2020年9月11日。家事の最中にNiziUの「Make you happy」を踊り、その動画をアップした。ほぼノーメイク、足元には脱ぎ捨てたスリッパといういでたちだったが、その1本目から「バズってしまった」。再生回数は150万回以上。かずさんが振り返る。 「見た目は普通なのに、踊りがわりとしっかりしている感じがよかったのかなと思います」 TikTokには、ダンス動画が多数ある。かずさんもそんな動画投稿者の一人だが、いま彼女には7万人を超えるフォロワーがいる。応援も温かい。ただし、彼女はタレントでも女優でもない。21歳の長男を含む3人の子どもがいる50歳の主婦だ。 「投稿初期から『#もうすぐ50歳』というタグをつけたのもよかったのかもしれません。平均して3日に1本は投稿し、コメントもまめに返していったのですが、フォロワー数が日を追うごとに増えていきました」