〈箱根駅伝事件簿4選〉史上最短で棄権、“山の神”になり損ねた男…第101回大会の注目は5区「箱根の歴史に残る“山の頂上決戦”になる」
「山の〇〇」大量発生、史上最短棄権…
“山の頂上決戦”に注目したい第101回大会だが、過去には5区で2年連続区間新を出したにもかかわらず、「山の神」になり損ねた男も…。ここからは佐藤さんの箱根“事件簿”4選を紹介する。 事件簿1:山の5区で2年連続区間新も「山の神」になり損ねた男… 「城西大の山本唯翔選手は99、100回大会と5区で2年連続区間新をたたき出すも、山の神になれなかった男です。かつて『山の神』と呼ばれた選手は3人。初代が順天堂大の今井正人、2代目が東洋大の柏原竜二、3代目が青山学院大の神野大地です。彼らはいずれも区間新を出してチームの総合優勝に貢献し、『山の神』と呼ばれるようになったわけですが、個人の実力だけみたら山本選手だって『神』に匹敵します。 ただ『山の神』の条件は区間新に加え、チームを総合優勝に導くこと。残念ながら城西大は99回が9位、100回が3位と総合優勝に手が届かず…。結果的に山本選手は『神』ではなく、『山の妖精』と呼ばれるようになりました。名付け親は城西大の櫛部監督ですが、当初はあまり気に入らない様子だった山本選手も、妖精呼びが定着したことで今は受け入れているそうです」 ちなみに、前回大会で5区を走った早大の工藤慎作は普段着用している黒縁眼鏡の姿が「アニメ『名探偵コナン』に似ている!」ことと、工藤という名前(コナンの本名は工藤新一)から『山の名探偵』と呼ばれている。 近年、神だけでなく、妖精や名探偵など『山の〇〇』が増殖中だが、101回大会は再び神降臨となるか、期待したい。 事件簿2:箱根史上、最短棄権となった第78回大会 「第78回大会(2002年)では、法政大の主将でエースだった徳本一善が2区を走行中、肉離れを起こし、わずか7.3キロで途中棄権となってしまいました。1区も含めた28キロ地点での棄権は箱根史上、最短棄権として記録されています。 徳本選手といえば、当時金髪にサングラスをかけたチャラめの風貌に、物怖じしない強気な発言で有名な選手でした。もちろん実力もあり、“法政のオレンジエクスプレス”という異名を持っていました。 その徳本選手が、肉離れを起こし、足を引きずりながら走っていましたが、最終的には監督の判断で途中棄権となりました。当時は『這ってでも行きたかった』と語っていた徳本選手でしたが、後に駿河台大の監督になった際に『学生に先を行かせるか否かの判断が監督としていかに難しいことかを思い知った』とも語っています」 ちなみに、徳本選手が箱根史上、最短棄権した第78回大会(2002年)で法政大の1区を走っていた黒田将由は、現在、青山学院大のエース・黒田朝日の父。黒田選手は昨年2区で区間賞を獲得し、今年も区間賞候補の一人だ。