学校も入試もリスキリングも…教育を支配する「ベネッセ」の正体 驚くべき“問題営業”と“癒着”の実態とは
文科省とはべったり?
新年度の春。わが子の教育には一層力が入り、自らの新たな学びに挑戦する向きも多かろう。だがわが国の教育事業は、学校教育からリスキリングまで、文字通り“ガリバー”の一強支配が進んでいるのだという。その“問題営業”や“癒着疑惑”の実態とは――。ベネッセの正体に迫る。 突き抜けるような青空の下、生徒の蹴り上げた砂埃に、校庭の木々の葉が揺れる。教室の窓からのぞかせる日常の光景。そんな平穏とは裏腹に、さる私立高校の応接室では、客人の話に熱心に耳を傾ける教員の姿があった。 「御校の2年生は国語、特にこの分野が弱いですね」 「日々の教育活動はこう改善しましょう」 そう“ありがたい”言葉を投げかけるのは、どこかの教育評論家でもなければ、教育委員会からやってきた偉い人でもない。スーツに身を固めた、さる民間企業の営業担当者である。彼は一体、何をしに来ているのか――。 “なぜベネッセばかりが” 教育産業を代表する企業として君臨するベネッセグループ。「こどもちゃれんじ」に「進研ゼミ」と、誰もが見聞きしたことのある教材の親しみやすいイメージとは裏腹に、昨今では、大学入試や都立高入試における公的業務を大口受注するなど、教育産業において、他を寄せ付けない圧倒的な存在感を見せている。 「入試関連の事業において“右に出る者なし”であるのは、もはや周知の事実でしょう。加えて、どの教育現場でもベネッセの存在感は別格。まさに教育産業のガリバーと呼ぶにふさわしい会社といえると思います」(全国紙記者) だからこそ、と言うべきか。同社をめぐって度々取り沙汰されるのが、“癒着”の二文字だ。一民間企業でありながら、国家の基盤ともいえる公教育に対して、なぜここまで入り込めるのか。その不自然さを指摘する声が高まっているのだ。 「昨今のベネッセを見ていると、国や自治体との関係性に、疑念を抱かざるを得ません」 そう話すのは、英文学者で、東京大学文学部教授の阿部公彦氏だ。
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「週刊新潮」2024年4月11日号掲載