パンや菓子にも…「海藻」新たな味わいを楽しむ
海藻たっぷりラーメン人気
みそ汁や煮物などの和食に欠かせない海藻。最近は、一部地域で消費されていた海藻が広く食べられるようになり、パンや菓子などに入れるなど味わい方も変化している。どんな味わい方なのか探ってみた。(読売新聞生活部 山田朋代、加藤亮) 10月上旬、東京都中央区の日本橋三越本店で開かれた海藻の魅力を紹介するフェア。飲食スペースで客が次々とラーメンを注文していた。主役はたっぷりと盛られた5種の海藻だ。 歯ごたえのある若ヒジキ、プリッとした食感のミリン、熱を加えるととろっとする紅色のトサカノリ。スジアオノリは熱々のスープの湯気で香りが立ち上り、アツバアオサは独特のほろ苦さで料理を引き締める。資源量が減っていたり、一部地域で食されていたりする海藻などで、いずれも食感や味を生かしている。耳慣れない海藻に驚く客も多く、東京都の会社員女性(45)は「初めての海藻もあり、食感が面白かった」と話す。 フェアで海藻を提供した新興企業の「シーベジタブル」(高知)は2016年に創業。高知県で収穫量が激減したスジアオノリの陸上養殖での量産に成功し、その後、南九州の一部で親しまれ、資源量が激減したミリンを海面栽培で再生させた。各地で30以上の海藻の栽培に取り組み、家庭で使いやすく乾燥させたトサカノリ、希少な国産ヒジキの若芽である若ヒジキなどもネットで販売する。 海藻は生産量も消費量も減っており、厳しい状況にある。農林水産省の統計によると、1992年度の海藻類の国内消費は約21万トンだったが、食生活の変化などで2022年度には約11万トンと、およそ半分に減少した。海藻類の生産も22年には約6万トンとなり、30年で7割も減少した。海水温の上昇や、ウニの食害などによる磯焼けなどが原因だ。 海藻料理研究家で同社の商品開発なども行う岡田大介さんは、「海藻の需要が増え、海での栽培が増えれば魚が生息する藻場が広がる。海の豊かさにもつながる」と話す。