【住宅ローン専門家が対談】ズバリ注目の商品、団信や返済プランを選ぶ際の重要なポイントは?(後編)
ズバリ、注目の住宅ローン商品は?!
――注目している住宅ローン商品についても聞かせてください。 千日 なんだかんだいって、やっぱりフラット35だと思います。最近、フラット35が低迷していて、ローン残高が減少に転じたと話題になっています。こんなに割安なのに不思議です。 淡河 銀行のIR資料を見ると、売り上げの95~99%が変動金利なんですよ。フラット35の売り上げは以前の3割ほど。ただ、近々で話を聞いたら、ようやく下げ止まりしたらしいです。「よかった、よかった」なんて言っていましたけど、何もよくない。あんなにすごい商品を出しているんだから、もっと頑張ってもらわないとダメです! だって、フラット35こそ金利1.82%(2024年10月時点、以下同)ですが、フラット20にするだけで、金利0.39ポイント減の1.43%。かつ、ポイント制度をフルに使えば最大1%割引で0.43%。さらに団信を外せば0.23%です。今年の初めには下手をするとマイナス金利になりそうな月があったほどですからね。 千日 2月からフラット35子育てプラスもスタートしました。あとはタイムリーなものとして、ペアローンの導入なども今後可能になります。2人がそれぞれ単独で借り入れする仕組みなので、8000万円×2で1億6000万円まで借りられるそうです。ちなみに、どうも連帯保証にはならないらしいですね。たとえば、夫の返済が滞ったとしても、あくまで自分の債務を払えばいい。ただし、夫が期限の利益喪失後(配偶者が延滞した場合)は、妻の分は一括返済を求められ、分割返済が認められていません。 淡河 そこだけは、一蓮托生(いちれんたくしょう)的な部分が残されているんですね。 千日 銀行だと、SBI新生銀行は面白いと思います。おすすめは「当初固定金利タイプ」で、融資手数料が5万5000円で定額。20年固定期間中の金利は、業界最安です。20年の固定期間が終了したら、その時の基準金利から1.4%引いた金利が適用されますが、これだと引き下げ幅が少ない。しかし、20年の固定期間中に完済してしまえば、メリットだけを100%享受できます。もし完済できなくても、ある程度は残高が減っているはずなのでリスクを最小限に抑えられます。 ※編集部注:11月現在、SBI新生銀行は、手数料定額型の取り扱いを終了しています。 淡河 僕のおすすめは中国銀行です。少し前まで全期間固定金利は驚異の1%でしたからね。今月は少し上がりましたが、それでも1.2%と破格の数字。全期間固定金利ではずっと全金融機関で最安です。しかも、申し込んだ月と融資実行月の安いほうを選べるのもすてきです。 あとは、常陽銀行。全期間固定金利が1.38%と割安です。さらに、条件次第ですが土地購入時も全額一括融資可能なんですよ。家ができるのが半年~1年後になるとして、一番嫌なのが待っている間に金利が上がってしまうこと。それが、契約月の安い金利で全部パスできます。 しかも、保証料型と手数料型の2種類ありますが、保証料型の保証料が0.9%と安すぎる。普通は2%くらいですから、半分以下です。手数料型にすると保証料は2.2%になってしまいますが、がん団信が無料で付いてきます。ライフプランに合わせて商品を選択できるのがうれしいですね。 千日 なんで地銀がこんなに安くできるんですかね? 採算があってないような気がしますが。 淡河 常陽銀行はチャレンジングな銀行なので、攻めているのでしょう。 普通はこういうことをやる時、証券化すると思うのですが、おそらく常陽銀行はやっていない。とはいえ、今の低金利だから採算が取れているんでしょうね。ちょっとでも金利が上がったら即死だと思います。