シンガポールの銀行が富裕層顧客の審査強化、資金洗浄対策で-関係者
(ブルームバーグ): シンガポール最大のマネーロンダリング(資金洗浄)スキャンダルに巻き込まれたシティグループやDBSグループ・ホールディングスなどの銀行は、不正な資金フローへの関与を避けるため、富裕層の顧客や顧客候補の審査を強化していると、事情に詳しい関係者が明らかにした。
関係者によれば、一部金融機関のプライベートバンカーは、犯罪者が経歴や資金源を隠すのに使うトリックを見破るための追加訓練を受けているという。情報が公になっていないことを理由に匿名で語った。
こうした動きは自主的なもので、中国の犯罪者グループがオンラインギャンブルで得た資金30億シンガポールドル(約3500億円)余りをシンガポールの少なくとも16社の金融機関を通じて洗浄するのを可能にしたような抜け穴をふさごうと、各社がいかに取り組んでいるかがうかがえる。このスキャンダルにより、シンガポールのイメージは傷付き、国内外の銀行や証券会社が顧客を審査する方法の弱点が露呈した。
シンガポール通貨庁(MAS、中央銀行)は最近、事件に関与した一部銀行に対する立ち入り検査を終えた。関係者数人の話では、預金口座やローンといった金融サービスを通じた犯罪者との取引がかなり多かった金融機関は検証終了後、金融規制当局から罰金などの懲罰的措置を科される見込みだ。
MASの報道官はブルームバーグ・ニュースの質問に対し、金融機関がマネーロンダリングやテロ資金調達に対して十分かつ適切な管理を行っているかどうかを見極め、要件を満たしていない場合は過去の事例と同様に措置を講じると説明。現在も監視活動を続けているとも述べた。
シティの広報担当は「当行は全従業員に対し、マネーロンダリング防止を含むさまざまなトピックについて定期的なトレーニングを行っている。より良いサービスを顧客に提供するため、新たなリスクや潜在的な問題について、スタッフが確実に情報を得られるよう努めている」と指摘。