「一番の有事は人口減少」――野田聖子氏に聞く【自民総裁選】
「一番の有事は人口減少」総裁選に出馬した理由
――これまでも少子化や子ども政策が課題だと言われ続けていましたが、改善に至ってこなかったのは何が原因だったのでしょうか。今後どうしていくべきだと考えていますか。 野田氏:長年のイメージとして、子ども政策とか、少子化対策は与党・自民党がやるべきことではないという空気が自民党内で満載だったんですよ。少子化や子ども政策は女々しいという間違った価値観が自民党内に横行していた結果、やるべきことは進みませんでした。 一番の有事は人口減少なんですよ。ためらいなく、子ども政策・少子化対策に重みをおける社会じゃないと、どんどんこの国は疲弊していきます。すべての行き詰まっている政策の根本は、少子化による人口減少。そこにリーチしないと政治は動きません。 私が常に総裁選に出ようと思っていたのは、1日でも早く国民にそのことを知ってもらいたかったからです。4度目でようやくです。「こどもまんなか」のことを3候補とも、1人も言っていなかった。それを止めたかったんです。 ――「こどもまんなか」について、具体的に詳しくお聞かせください。 野田氏:まずは政治の意識改革です。子どもというのはいわゆる社会的弱者です。つまり、私が引っ張り出したいのはこの国の多様性です。子どもはそのアイコンの1つであり、大きなアイコンです。ここが崩されていることに誰も、気がついていないからなのか、言及しないことを私は警告したいんです。 「こどもまんなか」とは、まず目の前にあるものの不幸がなぜ解決できないのか、なぜ虐待が増えるのか、なぜ自殺が増えるのか、なぜ母親が子どもを殺してしまうのか、子どもがせっかく生まれたのになぜ産後うつで死んでしまうのか……。そういった課題に真正面から取り組み、「ここの底が抜けているから少子化が拡大しているんだ」という問題意識を持たなくてはなりません。
手の届いてこなかった方々に届くプッシュ型の給付を
――これからの日本の成長や発展に向けて、どのような経済対策を実行していきたいと考えていますか 野田氏:優先順位があると思います。まずはコロナ禍なので、コロナにかからないためのヘッジをすることで経済が少しずつ動き出すということ。これが序盤です。その次にコロナ禍で歪んでしまった部分への給付です。デジタル庁を急いだ理由はそこにあって、一律でないとスピード感が出せなかったのがアナログですが、デジタルでは選択して集中的にやれるプッシュ型サポートという強みがあります。 例えば、現在、学生の方が大変困窮しています。私の友人が女子大に生理用品と食品を届けたんです。そこで生理用品を買えないくらい女子大生が困窮している、アルバイトとかを失っているということがわかりましたが、このことはあまりクローズアップされていないんですね。 同じようにひとり親、そして非正規雇用の方々のところにも手が届いていないので速やかにプッシュ型で現金給付をして、生活の最低限を維持してもらう。この人たちが乗り越えてくれないと、これからの次の日本はないわけですからね。