「食べることと農業はつながっている」 キュウリ農家に転身、見つけた答え
【&w連載】AG世代がいちばん話したいこと
山梨県で「南アルプス農園 ふるふぁーむ」を営む片山京子さん(46)は、7年前に家族で移住して農業を始めました。現在は主にキュウリを育てながら、女性農業者のグループ「やまなし農業女子」の代表として、情報発信やイベント開催に力を注いでいます。IT関連の仕事から転身を決めたきっかけや、農業にかける思いを聞きました。 【画像】もっと写真を見る(7枚)
――最初に、山梨県に移住する前のことを教えてください。 私は東京で生まれて、神奈川県相模原市で育ったんですけど、家の周りは住宅地でした。ただ、母の実家が山梨県南アルプス市にあって、祖父母は農業をやっていたので、訪ねたときに農業に触れる機会は多かったと思います。食べることも作ることも好きで、食べ物に関わる仕事をしたいなぁ、と思っていました。 中学生の頃に学校でプログラミングの授業が始まって、結構得意だったので情報系の学校に進み、損害保険会社系のシステム会社に入りました。保険料を計算する仕組み、顧客管理のプログラミングや設計を担当しました。インターネットが普及し始めた時期だったことと、男女雇用機会均等法の改正(※)があって社会や企業の中で女性の立ち位置、カルチャーが変わっていく時期だったことも面白かったですね。その会社に14年勤めて、フリーランスと合わせて16年ぐらいシステムの仕事をやりました。 ※1985年に制定された「男女雇用機会均等法」は、1997年の改正で、女性であることを理由とする差別的扱いの禁止が定められました。 ――仕事として農業に携わろうと思ったきっかけは何ですか。 自分のキャリアを考えたときに、会社ではない場所で挑戦したいという気持ちが生まれて、都会の暮らしとは違うところで、と思ったんです。祖父母が高齢で、農繁期や収穫期は旅行の感覚で山梨に行って手伝っていました。私が今までやってきたことを農業に生かせるかも、と感じたことが理由のひとつです。 私は食べることも作ることも好きなので、自分の好きなことをやりたい、と思ったこともひとつ。そして、東日本大震災の直後は食べ物を確保するのに苦労して、食べることは生きることに直結していて食べ物がないとこんなに不安になるんだ、と感じたことも、農業をやろうと考えるきっかけになりました。ITコンサルの仕事をしていた夫も農業をやりたいと言ってくれて、新規就農することにしました。